“神のように”誰かを裁ける時代ーー善意と悪意、人間の恐ろしさ描かれた第8話<全領域異常解決室>
藤原竜也が主演を務めるドラマ「全領域異常解決室」(毎週水曜夜10:00-10:54、フジテレビ系 /FODでは毎週放送終了後から次週のエピソードを先行独占配信)の第8話が11月27日(水)に放送される。 【動画】広瀬アリス“小夢”が泣き叫ぶ…「全領域異常解決室」第8話予告映像 ■“不可解な異常事件”をテーマにした本格ミステリー 本作は、「マイファミリー」(2022年、TBS系)、「ラストマン-全盲の捜査官-」(2023年、TBS系)など、オリジナルで数々のヒット作を世に送り出してきた黒岩勉が脚本を、映画「変な家」(2024年)や現在公開中の映画「赤羽骨子のボディガード」など、映画監督としても活躍する石川淳一が演出を務めるほか、実力派スタッフが手掛ける本格ミステリー。 身近な現代事件×最先端の科学捜査では解明できない“不可解な異常事件”を「全領域異常解決室」という捜査機関が解決していく1話完結型ドラマだ。 扱う事件の対象は、まさに“あらゆる領域”におよび、「神隠し」「シャドーマン」「キツネツキ」といった“超常現象”など、現代科学の常識では考えられない“異常”に挑んでいく。そして、全話通して描かれる“ある大きな事件”は予測不能で、ハラハラドキドキの展開となっている。 ■「全領域異常解決室」第8話あらすじ 第8話は―― ヒルコによる神隠し事件が解決しないまま、今度は東京で4件の連続餓死殺人事件が起こる。普通の生活を送っていた人が、たった一晩で餓死してしまうという不可解な事件だった。ヒルコからは「修理固成が終わろうとしている。この世は間もなく生まれ変わる」という声明が出る。 興玉雅(藤原竜也)、雨野小夢(広瀬アリス)、荒波健吾(ユースケ・サンタマリア)らが状況を確認すると、餓死した4人に接点はなかったが、4人とも腕時計の時間がなぜか狂っていたという。さらに現場付近の防犯カメラには同じ女性の姿が映っていた。興玉は、これは“ヒダル”の仕業かもしれないと話す。ヒダルとは悪霊の一種で、とり憑かれると空腹感や疲労を覚え、死んでしまうこともあると続けた。 一方、過食窒息事件で大隈美容クリニックから押収した人魚のミイラが一体、盗まれていることが判明。警察内部の者が盗んだ可能性が高く、荒波らは捜査員らの聞き込みを行っていた。“全決”を疑う荒波は、直毘吉道(柿澤勇人)から情報を聞き出そうとする。 ――という物語が描かれる。 ■“神の業と人間の罪”が描かれる第8話(以下、ネタバレが含まれます) 第8話は“神の業と人間の罪”が描かれる。興玉はこれまで何度も「人間は信用できません」と口にしてきた。そして今回、「善意でも悪意でもどちらか一つに染まったときの人間が、一番恐ろしいですから」と呟く。第8話ではまさに「善意でも悪意でもどちらか一つに染まったときの人間」の恐ろしさと愚かさ、そして罪深さが浮き彫りになる。そして行き過ぎた正義感が悪意と表裏一体であることに警鐘を鳴らす回となった。 SNSが私たちの日常になった今日、人は誰でも“神のように”誰かを裁ける。著名人だけでなく一般人でも簡単に炎上する時代。誰かの悪意(善意)が誰かの善意(悪意)を刺激して、一丸となって対象の者をコテンパに袋叩きにする。いわゆる“私刑”が執行されるのだ。 前後も背景も分からず一部だけ切り取られたその一瞬が瞬く間に拡散され、同時に真偽は分からない情報が膨らんでいく。そして、あたかもそれらが真実であるからとデタラメな正当性を盾に大勢がその対象者一人(もしくは数人)を攻撃する。 私たちは常にハイエナのように火の素を探し、そして無責任にそれを燃やして誰かを焼き殺す。ネット社会に踊り踊らされる日々。だが、私たち誰もがいつかその火に焼き殺される可能性も持っているのだ。ある意味これも小さな戦争である。 そんな人間たちの殺し合いの歴史をずっと見てきた神たちは、「人間は信用できない」と口を揃える。人間の醜さにそして繰り返す愚かさにうんざりし、絶望すら覚えている印象だ。宇喜之民生(小日向文世)は言う、「我々は何度も人間を信じてきました。でも、その度に裏切られてきたんです」。 なぜ神は何度も人間に裏切られるのか。その過程が見えた第8話。人間の裏切りに耐え忍んできた神の暴走は果たして罪なのか。視聴者である我々は彼らの罪をどう裁く。神を軸にした物語ではあるが、現在に生きる私たちにとって実にダイレクトにヒットするリアルなテーマに、考えさせられる視聴者は多いのではないだろうか。 物語はまさにクライマックスを迎えているが、まだ二転三転ありそうな雰囲気も漂っている。全決に疑いの目を向ける警察、そして様々なところで起こる裏切りと明かされていく隠された真実…。果たして“ヒルコ”との対決はどんな結末を迎えるのだろうか。 第8話の地上波放送を前に、FODでの先行配信を観た視聴者たちからSNS上で「8話の内容辛すぎたけどマジで面白い」「先行8話見て人間に絶望してる…」「8話見てうわああああ!ってなってる…まさか…ショック…」などの声が上がり、話題となっている。 構成・文=戸塚安友奈