災害時の一時避難所、障がいのある子ども支援 さらにアスリート食堂も 地域とつながる持続可能な企業に
広島ニュースTSS
マネー研究所。お金をキッカケに広島の暮らしやビジネスに関わるニュースをお伝えしていきます。取材は矢野寛樹ディレクターです。 【矢野ディレクター】 今回のテーマは「地域をつなぐビジネス」 人とのつながりが希薄になりがちな現代。 地域とビジネスはどんな関連性が、あるのでしょうか?今回は、その答えを求めて奮闘するある人物のお話です。 広島市佐伯区にある自動車販売店。 中にお邪魔すると・・。 【矢野ディレクター】 「この上が避難所になっているのですか?」 【自動車販売会社 サンボレ・小田修久 社長】 「一時的な避難ができるようにスペースを設けてあります」 この会社は、社屋の2階に、町内の「緊急一時避難場所」を作りました。 【自動車販売会社 サンボレ・小田修久 社長】 「ご近所の方は高齢者や1人では避難が難しい人もいるので、近くの人に声をかけて、うちのレンタカーで一緒に集めて乗って避難しようと想定しています」 小田さんの会社のある地域は、防災意識が高いエリアです。 実は、今から25年前の1999年6月29日。 広島市の佐伯区、安佐北区や呉市を中心に、土石流災害139か所、死者31人という、大規模な土砂災害が発生したのです。 防災対策には、住民同士の日頃のコミュニケーションが大切になります。 そこで、小田さんは、20年前から、地域にイベントを増やす取り組みを始めたのです。 コロナ禍前まで、地域のイベントとして、毎年、開催していた「サンボレ祭り」を復活させました。 【自動車販売会社 サンボレ・小田修久 社長】 「コロナもあったので、5年ぶりの開催となりました」 さらに、今回は、地域の福祉事業所から、障がいのある子どもたちが、スタッフとして参加しました。 【自動車販売会社 サンボレ・小田修久 社長】 「今回は発達支援児童の18人に参加してもらって、店長として子どもたちに責任をもって運営してもらったが、いっしょうけんめいお客のために接客したり、盛り上げてくれたり、生き生きと働いてくれた」 このような体験は、子ども達には貴重だと、福祉関係者は話します。 【NPO法人こどものミカタ・井上智彦 代表理事】 「みんな、けらけら笑いながらやることによって、みんな、もっとこうした方がいいという所に気付けるので、めちゃめちゃよかったと思います。そういう経験を企業とコラボしてやらせてもらえると、とても助かります」 地域の様々な人をつないでいく取り組みを何故、小田さんが大切にするのかというと・・。 【自動車販売会社 サンボレ・小田修久 社長】 「自分たちを応援してくれるお客は地域の人になりますから、喜んでもらう。必要としてもらって、満足してもらった分だけ対価をもらう。自動車をたくさん販売することと地域の人たちに必要とされることは、同じくらい大切で、両方しないと会社は継続していかないと思っています」 小田さんの取り組みは、これだけでは終わりません。 今年から、月に1回開催する「アスリート食堂」を始めました。 当日の準備は、早い時間から始まります。 【サンボレ・栄養トレーナー 西川幸子さん】 「ここに2升入っています」 「700グラムの大きいパックを4パックだったので」 Q:2.8キロ? 「それぐらいですかね」 【サンボレ・栄養トレーナー 西川幸子さん】 Q:きょうは何品でるんですか? 「きょうは具だくさんの味噌汁とひじきとじゃこピーマンと豚の生姜焼き。せっかく来てくれるのでバランスを整えて出すようにはしています」 管理栄養士の資格を持つ西川さんは、保護者に食事の指導も行います。 アスリート食堂の1人、参加費は2000円。 食堂といっても、食事だけではありません。 専門のインストラクターによる指導が1時間以上あるんです。 アスリートといっても競技は、テニスやバレーなど、それぞれですが、全ての競技の基礎になる部分をトレーニングしていきます。 【トレーナー・金谷知美さん】 「足裏から、土台作りから、体幹あとは個々の運動目的。大体が土台や股関節かなと思っているので、そこから体幹の強化に入っていくと思います」 トレーニングのあとはみんなで食事。 【参加者は】 Q:スポーツは何していますか? 「バレーボールです」 Q:トレーニングはどう? 「いつもやっていないことが分かって良かった」 子どもたち以上に関心が高いのが、アスリートを子どもに持つ保護者たちです。 【保護者は】 「1回目に来た時に、いろいろ教えてもらって、そこで栄養のことなども話を聞いて」 「子ども食堂のお手伝いなどしていましたが(子ども食堂とは)違いますね。内容が」 これが、「アスリート食堂」なのです。 地域のつながりを大切にする取り組み。 これがビジネスには、大切なポイントになると小田さんは言います。 【自動車販売会社 サンボレ・小田修久 社長】 「地域の方に必要とされたことに向き合うのは、あそこに行けば何とかなるとか、あそこに行こうとか、あの人に相談したいとか、まずこの小さなエリアで、よくならないと、大きなことにはならないので、この方が次の時代には生き残れるのではないかと思って、今少し組織を強くしていこうと挑戦しています」 「地域の課題を解決しながら、つながりを守っていく」持続可能なビジネスを実現する取り組みが、ここにありました。 <スタジオ> 【矢野ディレクター】 「いろんなビジネスの形はあると思うんですが、その地域に必要とされる存在になるっていうことが大事なのは確かに原点なのかもしれないですね」 そうですね。本当に人と人との繋がり。そこにビジネスが生まれるということなんだろうなと思いますけど、サンボレ祭りもアスリート食堂もすごい賑わいでしたね。 【矢野ディレクター】 「大変な賑わいなんです。やっぱり、それだけ求めている人も多いということだと思うんですけど、これがビジネスの基本になっていくという、こういう考え方もあるというお話しですね」 本業を見るだけじゃなくて、どのように地域に貢献していくか、これは本当にどんな業種にもいえることなのかもしれません。
広島ニュースTSS