日産、グプタ元COOに退任報酬5億8200万円-過去に社内調査の対象
(ブルームバーグ): 日産自動車が昨年退社したアシュワニ・グプタ元最高執行責任者(COO)に対して、「退任に伴う報酬」として5億8200万円を支払っていたことが分かった。事情に詳しい関係者らによると、グプタ氏は退任の前にセクシャルハラスメントとみなされる行為に関連する社内調査を受けていた。
日産の定時株主総会招集通知によると、グプタ氏は退任報酬に加えて手当も受け取る。
関係者2人によると、グプタ氏は在任中にセクシャルハラスメントに関連した日産の社内調査を受けており、退社に先立ってパッケージを提示されていたという。同氏を巡る日産の内部調査についてはロイターやフィナンシャル・タイムズなどが昨年の時点で報じていた。
グプタ氏はコメントを控えた。日産広報担当の永井志朗氏は株主総会招集通知の内容以上のことについてコメントすることはないと述べた。
グプタ氏はインド出身で、1996年にホンダに入社し日本やインドで勤務。2006年にルノーに入社し、日産とルノーの統括会社「ルノー日産BV」の幹部や三菱自動車のCOOを経て19年に日産のCOOに就任した。23年6月に「新たなキャリアを追求するため」に同月内に退社すると発表された。現在はインドのアダニ・グループの系列会社の経営幹部を務めている。
役員への退任時の報酬について、日産では現在、報酬委員会の裁量で退任時の状況を踏まえて支給の有無や金額を決めることができるとしている。
グプタ氏は日産のナンバー2として内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)とともに、中期計画の策定にも携わるなど、カルロス・ゴーン元会長の逮捕以降の日産の再建に主導的な役割を果たした。23年3月期の総報酬は7億2600万円と内田氏の6億7300万円を上回っていた。
直近での日産の経営トップへの退任時報酬の事例は20年3月期の有価証券報告書に記載されている。長年日産の取締役を務めた西川広人元社長の退任時には、廃止された役員退職慰労金制度の分も含め計3億1400万円が支払われていた。西川氏の後に一時CEO代行などを務めた山内康裕氏は3億7300万円だった。