選手権経験者も多く残った大津が、苦戦しながらもルーテル学院を下して決勝進出
1月27日、令和5年度熊本新人戦(新人選手権大会)の準決勝2試合が大津町運動公園陸上競技場で行われ、第1試合は大津とルーテル学院が対戦した。 【フォトギャラリー】大津 vs ルーテル学院 GK坊野雄大やDF五嶋夏生、MF兼松将、嶋本悠大ら、高校選手権に出場したチームでも主軸として戦った選手が多く残っている大津が序盤からペースを掴むと、9分に左からのクロスを山下景司、10分には右の桝井悠悟からクロスと、五嶋から左右へ広げながらルーテル学院のDFライン背後への配球で押し込んでいく。 しかし、「昨年はここ(準決勝)で負けていて、ここを越えたいという気持ちがあって硬かった」と山城朋大監督が振り返った通り、出足の早いアプローチを受けてフィニッシュへ持ち込む前に失うなど決定的な形は多くは作れない。 一方のルーテル学院も、「守備の時間が長くなることはわかっていて、奪ってからは2トップを起点にサイドハーフが相手DFの背後や間を突いていくことを狙いとしていた」と佐藤諒コーチが話すように、連動したブロック守備で跳ね返しながら攻撃に転じる。ただ大津も早い切り替えで対応し、30分に相手のコーナーキックから持ち込んだカウンターの場面でもシュートに結ぶことはできず、前半はお互いに得点が生まれないまま折り返した。 迎えた後半は立ち上がりにルーテル学院がやや押し込む場面を作ったが、ボランチ2枚を同時に交代した大津はボールを握る位置が前半と比べてやや高くなり、また嶋本と桝井の左右MFが中央寄りでボールに絡む場面が増え、深い位置でのロングスローやコーナーキックなどからチャンスを創出。それでもなかなかルーテル学院ゴールをこじ開けられずに時間が進む中、64分、右からのスローインの流れでこぼれたボールを嶋本が押し込み、先制に成功した。 追う展開となったルーテル学院は、「ヘディングで競れて、ボールを収められる」(佐藤コーチ)と57分に投入されていた丸山陽生がスペースに抜けるランニングなどでボールを引き出す。しかしアタッキングエリアで厚みを作れず、追加点こそ許さなかったものの、自分たちの流れに持ち込んで追いつくことはできなかった。 「前半は自分たちのペースに持っていけなかったけど、後半からは足元のコンビネーションで崩していくような自分たちらしい展開にもっていけた。(碇)明日麻さんがいた去年のチームと比べて前線に高さはないが、セットプレーの時は(五嶋)夏生が競り勝ってくれるので、こぼれに詰めることは意識していた」と決勝点の嶋本。ボールを保持する時間は作りながらも1得点にとどまったゴール前の精度や、チーム全体のプレーの質を高めることを追求し、まずは1つ目の県制覇を狙う。 (文・写真=井芹貴志)