「エイリアン史上最高の出来栄え」「美しさすら覚えた!」全米大ヒットの『エイリアン:ロムルス』はやっぱりすごかった‥!
1979年に巨匠リドリー・スコットによって生みだされた『エイリアン』。凶暴な地球外生命体による惨劇が大きな反響を呼ぶとシリーズ化され、後世のSF、ホラーのジャンルにも多大な影響を与えるなど歴史的な作品となった。そして第1作の衝撃から45年、シリーズ最新作となる『エイリアン:ロムルス』がついに日本の劇場でも公開を迎えた。 【写真を見る】フェイスハガーからチェストバスター、そしてゼノモーフへと段階的に進化していく最凶の地球外生命体=エイリアン… 広大な宇宙を漂う無人の宇宙ステーションを舞台に、6人の若者が“エイリアン”に遭遇し、絶望的な状況に陥る本作。第1作の“その後”にあたる物語で、往年のファンはもちろん、いままでシリーズに触れてこなかった人にとっても存分に楽しめる作品になっており、8月半ばに公開を迎えた本国アメリカでは、週末3日間で興行収入4150万ドル(約61億円)を記録し、『デッドプール&ウルヴァリン』(公開中)を抑えて首位デビューを飾る大ヒットに。MOVIE WALKER PRESSでは、日本公開に先駆けて実施された試写会参加者にアンケートを実施。その回答から本作の魅力をひも解いていきたい。 ※本記事は、ネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)を含みます。未見の方はご注意ください。 ■鑑賞した人の9割以上が「ハラハラ」「ドキドキ」!「緊張で手汗が止まらない!」サバイバルスリラー 時は西暦2142年。ジャクソン星採掘植民地で働くレイン(ケイリー・スピーニー)は、“弟”のように固い絆で結ばれているアンドロイドのアンディ(デヴィッド・ジョンソン)と共に、劣悪な環境のこの星を抜けだし、遠い惑星ユヴァーガに旅立つことを夢見ていた。そんな時、かつて交際していたタイラー(アーチー・ルノー)から、上空を漂流する宇宙ステーション「ロムルス」の乗っ取り計画を持ち掛けられる。この宇宙ステーションにはユヴァーガへの旅に必要な冷凍睡眠装置が装備されており、セキュリティを突破するのにアンディの力が必要だという。当初は断ろうとするレインだったが、いまのままでは一生を採掘労働に費やしかねない。かくして、アンディとタイラー、タイラーの妹のケイ(イザベラ・メルセード)、同じ採掘コロニーで働いていたビヨン(スパイク・ファーン)、スペースシップの操縦ができるナヴァロ(アイリーン・ウー)と共に宇宙へ飛びだす。しかし、ロムルスで6人を待ち受けていたのは、ほかの生命体に寄生し、その数を増やしていく恐るべき地球外生命体=エイリアンだった…。 破棄された宇宙ステーションという密室空間で、登場人物が次々とエイリアンに襲われていく本作。すばやく、パワーがあり、神出鬼没に姿を現すその恐怖を前に、観ている側にも常にハラハラドキドキの緊張感が漂い、一瞬たりとも気を抜くことができない。それだけに、本作を鑑賞した人たちからも「最初から最後まで緊張感があって気が抜けなかった」(20代・男性)や「緊張で手汗が止まらない!」(30代・男性)、「あっという間に2時間が過ぎてました」(40代・男性)といった率直な感想が飛び交っている。 「映像が衝撃すぎて見応えがある」(30代・男性) 「エイリアン史上最高の出来栄えだった」(50代・女性) 「宇宙ものでは『スターウォーズ』以来の傑作エンタメ作品」(20代・男性) 「自分が主人公になったような緊張感を味わうことができた」(30代・女性) 「次から次へと襲いかかる恐怖に拳を握りすぎて爪の跡が残るほど」(20代・男性) 鑑賞後の感想を選択する項目では、「ハラハラ」が89%、「ドキドキ」が84%、どちらかを選んでいる人は95%。「楽しかった」と「怖かった」「強烈だった」の回答数もほぼ同数となっており、サバイバルスリラーとして存分に満足できる作品であることが伝わってくる。 ■「絶望感がすごすぎた!」…進化しながら襲いかかるエイリアンの恐怖 劇中に登場するエイリアンも紹介しておこう。エイリアンは大きく分けて3つの形態に分類でき、「フェイスハガー」は卵から姿を現した時の最初の状態。クモ、サソリ、カブトガニのような節足動物に似た姿をしており、すばやく這って動いたり、驚異の跳躍力で人の顔を目がけて飛びかかってくる。恐ろしいのは、顔に張り付くと、尾や脚でガッチリと絡みつき、口に管を入れて胚を注入してくること。しばらくすると、宿主から離れて動かなくなり、一見何事もなかったように見えるのだが…。 お次は「チェストバスター」。宿主に産みつけられた胚が成長した姿で、体内を気味悪く動き回り、やがて胸部を突き破って飛びだしてくる。この際、宿主となった人の苦しみや恐怖は想像を絶するものに違いない。 フェイスハガー、チェストバスターを経た成体は「ゼノモーフ」と呼ばれる。脱皮を繰り返しながら数時間で、一般的な人の身長を超えるサイズにまで大きくなり、細身の体格ながら尻尾で突き刺した人間を軽々と持ち上げることができる。後ろが長い特徴的な頭部のフォルムを持ち、二重構造の口にしまわれた第2のアゴは容易く人の頭蓋骨に穴を開ける。さらに、その血液は強い酸性で、うかつに攻撃すると船体を溶かす危険性があるため、火器の使用にも慎重にならざるを得ない。 6人が最初に遭遇するフェイスハガーには、「あの不気味なフォルムがすばやく動くだけで気持ち悪いのにたくさんいるという恐怖…」(40代・男性)や「フェイスハガーに気づかれないよう、息を殺して歩き進めるところがめちゃくちゃハラハラした!」(40代・女性)といったコメントが。さらに、「過去シリーズと比べてもかなりフィーチャーされていました」(30代・男性)という回答が届いている。本作では特に、人間の体温や音に反応するという生態がフィーチャーされ、無数のフェイスハガーが解き放たれた場所をレインたちが音を立てずに通り抜けようとするシーンが印象に残るなど、ファンにとっても新たな発見があったようだ。 続けて、チェストバスターを「一番嫌だ!」(20代・男性)、「胸を食い破って出てくる」(60代・男性)と推す声があり、ゼノモーフにも「脱皮したあと、繭ような状態からゼノモーフが生まれるシーンに新鮮さとキモさを感じました」(50代・男性)、「どのシリーズより数多くのゼノモーフが出てきて圧巻だった」(40代・女性)、「エイリアンといえばこれ!」(50代・男性)といったコメントが寄せられるなど、禍々しさと生理的嫌悪感さえ覚えるシーンの連続に大勢が興奮した様子。 さらに本作には新種のエイリアンも登場。その詳細は控えるが、ファンからは「造形が強烈だった」(20代・男性)や「絶望感がすごすぎた!」(30代・男性)、「造形がまったく新しく美しさすら覚えた!」(30代・男性)と驚きの声が並んでいる。 ■「人間性に共感」「後先考えないで勢いで動く」等身大の若者たちが主人公 あらすじでも紹介したように本作の主人公は、戦いの訓練を受けた兵士でもなければ、知識が豊富な科学者でもなく、生きるために理不尽な労働を強いられる若者たち。現状に行き詰まりを感じ、一縷の望みを手にロムルスへ向かう物語は多くの人にとって共感しやすいはずだ。そんな登場人物たちについても以下のようなコメントが確認できる。 「危険だとわかっているのに、どうしても仲間を助けたいという気持ちの人間性に共感しました」(30代・女性) 「後先考えないで勢いで動くところが昔の自分と重なる」(30代・男性) 「自分と同じ年代と考えると、感情や行動が理解しやすかった」(20代・男性) 加えて、何者でもない彼らが絶体絶命の状況に陥ることで、過去シリーズと比べてよりサバイバルスリラーとしての要素が濃くなったという声も。 「特殊な訓練を積んでいないという点で、戦う描写より逃げ惑う描写が多めだったところにリアリティがあった。自分も逃げることしか考えないだろうと思った」(20代・男性) 「極限状態に陥った際の緊迫感にリアリティがありました」(30代・男性) ■「最後まで諦めず、仲間を大切にする姿がかっこいい」リプリーに続くニューヒロインの誕生! 6人のなかで中心となるのがレインとアンディだ。レインを演じるのは、ソフィア・コッポラが監督を務めた主演作『プリシラ』(23)、分断によって内戦が勃発したアメリカを描くA24作品『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(10月4日公開)と話題作に立て続けに出演している注目株のケイリー・スピーニー。まさに“次世代のリプリー”とも呼ぶべき活躍を見せる彼女について、以下のようなコメントが寄せられている。 「リプリーと並ぶくらい『エイリアン』シリーズで好きな主人公になりました」(30代・男性) 「たくましく優しい女性。演技も最高で、令和のリプリーです」(30代・男性) 「最後まで諦めず、仲間を大切にする姿がかっこよい」(30代・男性) アンディの指示に従って行動するしかなかったレインだが、仲間が次々と命を落とし、アンディにも危機が迫った時に覚醒を見せる。それまで握ったことなかった銃を手にし、無重力状態になった船内で大量のゼノモーフを撃退するシーンは圧巻だ。その後の酸性の血液が漂う空間を勇気と機転で切り抜けていく姿は、まさに歴戦の戦士のような佇まい。 そして、アンディ役に抜擢されたのは、ドラマ「インダストリー」で注目を集め、アガサ・クリスティーの小説「殺人は容易だ」をBBCがドラマ化した「Murder Is Easy」では主演を務めるデヴィッド・ジョンソン。当初はレインの助けなしでは外にも出られない弟、中盤からは彼女を守る戦士として、驚きの変化をとげるアンディを見事な表現力で体現していた。彼のキャラクターが印象に残っているという意見も数多く確認することができる。 「アンディ役の方の演技力が最高でした!アップデートする前とした後の表情の違いがすごかった」(40代・女性) 「アンドロイドだけど一番人間らしいと思った」(20代・男性) 「レインのために戦う姿に感動した」(30代・男性) ■「恐怖体験は過去最高」「また観に行きたい」…「エイリアン」ファンもビギナーも評価は◎ 本作の監督を務めたのは、「ドント・ブリーズ」シリーズ、ベストセラー小説「ミレニアム」シリーズが原作の『蜘蛛の巣を払う女』(18)などで知られるフェデ・アルバレス。おもにホラー、スリラーの分野で才能を発揮してきた鬼才で、視覚的、精神的にもじわじわと恐怖感を積み上げていく演出は今回も健在だ。その出来栄えについては、製作で参加したシリーズの“創造主”スコットも「クソすばらしい」と絶賛している。アルバレスが監督になったことにより、「生き急いだ若者たちを描くのが上手い」(10代・男性)や「驚かす演出が見事」(30代・男性)のような効果があったようで、大きな反響を呼んでいることがわかる。 「音や呼吸などの描写にとてもこだわっている」(30代・男性) 「暗さと恐怖を撮るのが上手い。『死霊のはらわた』も好きなのですが、生き残るための足掻きとそれが絶望へと変わる瞬間との撮り方が本当に怖くておもしろかった」(40代・女性) 「観ているこちらまで思わず黙って見入ってしまう」(40代・男性) 「“音を立てたら相手が気づく”というシチュエーションがありましたが、やはり手に汗握りました」(20代・男性) アルバレス監督は本作について、「もしどの『エイリアン』も観たことがないのであれば、(『エイリアン:ロムルス』が)最初の1本となるすばらしい機会になる」と説明。入門編として最適である一方で、第1作をはじめシリーズを観ているとわかるイースターエッグもちりばめられているので、ファンにとってもうれしいサプライズにあふれた作品になっている。ビギナーとシリーズファン、それぞれどのような感想を持ったのだろうか? シリーズ往年のファンからは、「より原点に近づいた」(50代・男性)、「『エイリアン』を初めて観た時のような気持ちのよい怖さがありました」(30代・男性)、「もう一度シリーズを観返したくなった」(40代・男性)といった回答があり、過去作とのつながりを感じている。 「いままでの『エイリアン』シリーズを彷彿させるシーンが多く、ファンサービスも最高でしたし、恐怖体験は過去最高でした」(30代・男性) 「どの形態のエイリアンも魅力的に描こうとするのが伝わってきてよかったです」(50代・女性) 「『エイリアン』を知らない人にも自信を持っておすすめしたい。『エイリアン』を知っている人はいろんな箇所でほかのシリーズとつながる部分を発見できるので、宝物探しのように楽しめる」(40代・女性) こういったファンならではのコメントが並ぶと、過去作を観ていたほうがいいのでは?と思うかもしれないが、「シリーズを観てない人でも楽しめるところがいい」(50代・女性)という言葉もあるように、初見の人も楽しめる作品になっている。ビギナーからは、「とっても楽しかった」(30代・女性)、「特に後半が怖かった。でもまた観に行きたいです」(40代・女性)、「エイリアンの恐怖感だけでなく、そのなかに訴えるべき内容が描かれている深い作品だと思いました」(40代・男性)といった感想が続くなど、本作を称賛する声は後を絶たない。 ■あなたはこの「生存率0%」を生き残れるか? 「逃げ切れるか?生存率0%の絶望から…」と銘打たれた本作。試写会のアンケートには「あなただったらこの生存率0%の状況から逃げられると思いますか?」という項目も用意。蓋をあけてみると、96%が「無理」「逃げられない」という回答だったが、なかには「戦います」という勇ましい回答も返ってきていた。 「逃げられません…泣きます(笑)」(30代・女性) 「たぶん逃げ切れると思う」(40代・男性) 「逃げられないけど、なんとか若い連中は助けて散りたいですね」(50代・男性) 「もちろん逃げません、戦います」(20代・男性) 絶望的な状況におけるサバイバルを徹底的に突き詰めた『エイリアン:ロムルス』。果たして、6人の若者たちはエイリアンの脅威から生き残ることができるのか?圧倒的な臨場感でリアリティあふれるスリルを味わうことができる本作を、ぜひ映画館で体感してほしい。 構成・文/平尾嘉浩