長野県がオリジナル米「風さやか」を統一販売へ 高品質ブランド化を視野
長野県が開発したオリジナル米「風さやか」が、29日から統一デザインの米袋で県内販売されます。14日には関係者による発表説明会があり、新たな出荷基準も公表されました。長野県はコシヒカリに次ぐ高品質ブランドとして育て、県内の販売で評価を高めた上で県外への販路も視野に入れる方針です。 【動画】新米の出荷が始まった「コシヒカリ」、日本を代表するお米の発祥は何県?
出荷基準を設けて統一デザインの米袋で
風さやかは長野県農業試験場が2000(平成12)年から01年にかけて「ゆめしなの」を父、「北陸178号」を母として開発、13年に品種登録した新品種。 長野県は味の特徴として「しっかりしたうまみと甘み」「粘り、味、香りなど食味のバランスが良く、多様な料理に合う」「特にあっさりしたところが朝ご飯に適している」「冷めても、もっちり感があり、おにぎりや弁当にも適している」とアピール。炊飯食味試験の結果として、16時間経過しても食味、硬さ、粘りの低下が小さく、一粒一粒がしっかりしているとの評価だったとしています。 今回、ブランド化へ向けた消費者へのPRと品質管理を狙って、同じデザインの統一米袋(とういつべいたい)で販売することとし、出荷基準も新たに設けました。▽玄米の基準を農産物検査法による一等米とする、▽精米の品位基準を水分16以下、白度39以上、粉状質粒6以下、正常粒93以上、砕粒4以下、異物・異種穀粒が混入していないこと――などで、品質が特に高い特別栽培米や認定品については「こだわりプレミアム」という表示ができます。 栽培面積は2013年度の182ヘクタールから15年度に913ヘクタールに増加。17年度には1260ヘクタールまで拡大させる計画です。 長野県農政部の説明だと県内の米の消費は年間約11万6000トンで、このうち約50%が県内産米。地産地消に取り組んでいる県はその一環としても風さやかの県内消費拡大を目指す考えです。
価格帯は「コシヒカリに次ぐ位置でいける」
農政部は「米は消費者が最初に食べたときの印象が大切なので、管理された統一米袋で安心して買ってもらえるようにしたい」と説明。阿部守一知事は「高品質の風さやかを県民に食べてもらい、ブランド化を進めてさらに広くアピールしていきたい」と期待を示しました。 長野県農協中央会の豊田実副会長は「9月中旬からの雨で収穫に苦労したが、品質、食味とも全国トップレベルの評価を得ている」として今後の販売に自信を見せ、米卸会社社長の塩沢均さんは「販売の価格帯はコシヒカリに次ぐポジションでいけそうだ」としました。 また、米生産者の立場から丸山秀子さん(信州水田農業経営者会議会長)は、「風さやかのメリットはコシヒカリの後継品種として期待できる点。作ったときに丈が低いので長雨でも倒れないのがいい。品質に期待したい。統一米袋での全県での販売は生産者の士気を高める」と述べました。 県は11月1日に長野市で風さやかのフォーラム・試食会を開き、炊飯や料理の専門家による提案を受ける予定です。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説