“日本で唯一”女性の「村下」…玉鋼つくる職人「刀剣業界に女性増やしたい」 “心ない批判”バネに前へ…
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きょう3月8日は「国際女性デー」です。みなさんは「村下(むらげ)」という仕事を、ご存じでしょうか。日本で唯一だという女性の村下、平田のどかさんに“苦悩”や“今後”について聞きました。 ◇ 3人の子どもたちを育てる、25歳の平田のどかさん。そんな彼女の職業は、日本刀や包丁などの刃物の原料である「玉鋼(たまはがね)」をつくる「村下(むらげ)」という職人です。
村下がつくる玉鋼は、日本古来の製鉄法「たたら製鉄」で製造できる純度の高い鋼。玉鋼でつくった刃物は強靱(きょうじん)で、さびにくくなるといいます。 かつては、「女人禁制」とされてきた時代もあった鍛治場でしたが、製鉄の技術を学んだのどかさんは、日本でただ“1人”だという女性の「村下」です。 そんな「村下」の仕事とは、玉鋼の原料となる砂鉄と木炭を交互に炉に入れ、熱していきます。炉の中の温度は約1100度。炉の様子を確認し、鉄と不純物を分離させ、質の高い玉鋼に仕上げていきます。 一度始めたら、作業は約12時間に及びます。
“日本で唯一”女性の村下 平田のどかさん(25) 「いつもより良いものが、とれたんじゃないか」 ◇ のどかさんが「村下」になったきっかけ。それは、刀鍛冶である夫・祐平(すけひら)さん(36)との出会いでした。
平田のどかさん 「夫が製鉄も刀作りの方も両方やっていて大変そうと思い、現場の方も手伝えたらなって」 幼い頃から、職人の仕事に興味を持っていたのどかさん。いまから約9年前、刀鍛冶の修業をしていた祐平さんと出会い、その後、結婚。東京・青梅市で鍛冶屋を開きました。のどかさんが「玉鋼」をつくり、それを夫が刃物に仕上げる。しかし、玉鋼作りは半日がかり。
作業を始めたら常に炉につきっきりのため、家族で助け合いながら仕事をしています。 ◇ 夫婦でつくる刃物は評判となり、丈夫で切れ味のいい包丁は、1年半待ちになるほど人気となりました。しかし、注目されることが増える一方で、女性の「村下」ののどかさんには、SNSなどで「女のクセに鍛治場に入りやがって」「女なのに日本刀作りに携わるな」といった誹謗(ひぼう)中傷も。