【番記者の視点】痛恨だった2枚のイエローカード…首位陥落の町田、J1王者・神戸と間に見えた半歩の差
◆明治安田J1リーグ▽第7節 町田1―2神戸(13日・国立) 【町田担当・金川誉】前半に受けた2枚のイエローカードが、重い“足かせ”となったように映った。J1初昇格の町田は、昨季王者の神戸に敗れ、首位から陥落して3位に後退した。前半45分、そして後半44分という重要な時間帯に失点。後半アディショナルタイム、DFドレシェビッチのゴールで1点を返したが届かなかった。 前半9分にはMF藤本一輝が神戸のペナルティーエリア内でパスカットから決定機をつくるなど、前半の序盤は町田ペースだった。球際の攻防、切り替え、縦への鋭さなど、町田と神戸は持ち味に類似点も多い。そんな中で互角以上の内容を見せていた流れが変わったきっかけが、前半26分にDF鈴木準弥、そして同32分にMF柴戸海が受けたイエローカードだった。どちらも球際に厳しく寄せた中で、一瞬の遅れがファウルになった。 球際の攻防で五分五分のボールを奪い、流れを引き寄せるプレーは町田の生命線の一つ。しかしカードを受ければ、当然2枚目のカード、退場を警戒する。さらに柴戸が警告を受けた場面は、プレーで流された後に鈴木が相手選手と接触。神戸の選手は主審に詰め寄り、一斉に鈴木への2枚目のカード、つまり退場を主張した。今季ここまで2試合で退場者を出している町田の選手たちにとって、一瞬背筋が凍った瞬間だったのではないだろうか。その後、前半終了間際の1失点目は、中盤で潰しきれずにゴール前まで運ばれた末に許した。これも見えない“足かせ”が影響したように感じた。 町田は後半16分にもMF仙頭啓矢が警告を受けた。判定に泣かされた部分もあったが、神戸は試合を通じて警告はなし。鈴木は「神戸には日本代表など経験が豊富な選手が多い。やはり駆け引きは上手だな、と思いました。僕らも一発目でばんっといって、ファウルを取られたら、レフェリーは今日はこういうところを取るんだ、と考えて対応していく、という経験値も積んでいかないといけない」と振り返った。さらに「あと広島もそうでしたが、神戸も出足がすごく速い。こぼれ球への反応でも、同じスピードでぶつかればファウルにならないと思うのですが、やっぱり半歩、相手が速いことが多かった」とも続けた。 国立競技場で開催し、クラブ史上最多の3万9080人を集めた一戦で首位の座を守ることはできなかった。しかし、まだ初のJ1リーグは8節を消化したのみだ。試合後の会見、黒田剛監督は「受け止めながら、検証していかなければいけない。個人として成長していかなければいけない面もあるし、もっといいポジションを取ること、または(守備で)いいスライドをすることによって(ファウルやカードを)回避できることもあると思うので、詰めていかなければならない」と語った。この日感じた半歩の差を埋めるためにすべきことは、すでに頭の中にあるかのような言葉だった。
報知新聞社