1日1万人が行き交う那覇市牧志の市場中央通り 第1アーケードが完成し快適に 7年がかりで再建した店主ら笑顔
那覇市牧志にある市場中央通りの第1アーケードの完成セレモニーが4日、現地であった。関係者は「喜ぶ・結ぶ」の願いを込めた市場の昆布を“テープカット”して再出発を祝った。アーケードは第1牧志公設市場の建て替えに伴い撤去されたが、通りの店主の要望を受けて、協議と工事に約7年かけて完成した。(社会部・吉田伸) 【地図】市場本通りのアーケード再建場所 市場中央通りは国際通りから「のうれんプラザ」まで、アーケードが連続して架かる四つの通りの中央にある。市の調査でも、平日、休日ともに1万人を超える人が行き交う。 中央通りのアーケードは全長50メートル。1990年に各店舗が出資して造り、管理してきた。旧市場の解体を前に市が撤去を要請すると、店主らは「お客さんや商品が直射日光や雨を避けられない」と危機感を募らせた。 店主らは県内外を訪問して情報収集。再整備を念頭に市の方針に同意した。コロナ禍で営業停止を余儀なくされ、思うように集まれない時期もあったが、2020年7月には市が加わる前提で「市場中央通り第1アーケード協議会」の設立にこぎつけた。 市との協議が軌道に乗ると、今度はロシアのウクライナ侵攻で資材が高騰。予算が超過し、設計見直しを迫られた。着工後も地中から埋設物が発見されるなど、工程は再三、延びた。 総事業費は約2億円に膨れた。5分の4は那覇市の補助金を活用、今年8月に完成したが、9月に予定していたセレモニーも台風接近で見送られた。 4日のセレモニーで協議会会長の佐和田清昌さん(73)は「再整備をお願いして7年。完成して本当にうれしい」と笑顔で話す。自身は土産品店の店主で「観光客やお客さんも安心してまちぐゎーを周遊できる」と声を弾ませた。 古本屋「ウララ」を営む協議会事務局の宇田智子さん(44)は「多くの人が力を貸してくれて、私たちの思いを形にしてくれた」と感謝する。一方、「維持管理を含めて、課題がまだまだ残っている」と話す。 再整備の記録を136ページにまとめた冊子「アーケードはつなぐ」を制作。記念泡盛やオリジナルTシャツも販売し、資金に充てる考えだ。