【女性必見】甲状腺疾患になりやすい人の特徴はご存じですか?「橋本病」や「バセドウ病」の症状も医師が解説!
甲状腺疾患を発症しやすい人の特徴は?
編集部: 甲状腺疾患を発症しやすい人には、何か特徴があるのですか? 薗田先生: 1つは、年齢が挙げられます。一般に、橋本病を発症しやすいのは20歳代半ば~40歳代の女性と言われています。一方、バセドウ病はもう少し若年層の女性に多く発症します。 編集部: 若い女性にも多いのですね。 薗田先生: はい。最近だと、妊活をしている女性が不妊治療の一環として、甲状腺ホルモンの数値を測ったときに、甲状腺疾患が発見されるケースも多くなっています。 編集部: 甲状腺の疾患は遺伝するのですか? 薗田先生: バセドウ病や橋本病は、遺伝的な因子が深く関与していることが研究で明らかになっており、「親、兄弟、祖父母がバセドウ病の場合には、一般の人と比べて20~40倍バセドウ病を発症しやすい」とされています。ただし、身内に甲状腺疾患の患者がいるからといって、必ず発症するわけではありません。 編集部: もう少し詳しく教えてください。 薗田先生: 疾患の発症には、遺伝的因子のほかに環境的因子があります。例えば、甲状腺疾患の遺伝的因子を持っている人が、日常生活で強いストレスを抱えたり、感染症にかかったり、妊娠・出産などを経験したりしたとき、それらがきっかけとなって疾患を発症することがあります。 編集部: 男性が発症する確率はどれくらいですか? 薗田先生: 疾患によって異なり、橋本病の男女比は1:20~30くらいと、圧倒的に女性が多いのですが、バセドウ病の男女比は1:3~5くらいと言われています。そのため、男性でも油断は禁物です。もし気になる症状がみられたら、早めに専門医の診察を受けるようにしましょう。
バセドウ病と橋本病、それぞれの症状
編集部: それぞれ、どのような症状に注意したらいいのでしょうか? 薗田先生: まずバセドウ病の場合には、以下の症状が表れます。 ・何もしていなくても動悸が激しい ・汗が多い ・暑がりになってきた ・手が震える ・細かい文字が書きにくい ・体重が理由なく減ってきた ・身体に力が入らなくなってきた ・疲れやすくなってきた ・長期間、下痢症になってきた ・微熱が続いている ・イライラする ・眠れなくなってきた ・目が飛び出てきた ・首が腫れてきた ・月経が来なくなった ・月経周期が不順になった ・不妊 編集部: 橋本病についてはいかがですか? 薗田先生: 以下の症状がみられることが多いとされています。 ・足がつりやすい ・皮膚にかゆみを覚えやすい ・乾燥しやすい ・寒く感じるようになった ・疲れやすくなってきた ・無気力になる ・体重が増えてきた ・むくみやすい ・便秘 ・月経周期が不順になった ・流産 ・不妊 編集部: 症状が非常に多岐にわたるのですね。 薗田先生: そうです。そのため、更年期障害と勘違いするケースや、橋本病の場合はうつのような症状がみられることも多いため、精神疾患と混同するケースが少なくありません。当院でも、心療内科からの紹介で受診をした患者さんを検査したら、「実はバセドウ病だった」というケースが多くなっています。 編集部: ほかの疾患と混同されることもあるのですね。 薗田先生: はい。甲状腺疾患は正確に診断し、適切に治療をすれば症状の改善を期待できる疾患です。放置すると重症化し、様々な症状が深刻になることもありますから、もし気になる症状がある場合には早めに専門医を受診し、検査を受けることが必要です。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 薗田先生: 甲状腺疾患の症状は多岐にわたりますが、例えば「うつっぽい」「いくら食べても太らない」「異常にお腹が空く」といった症状がみられる場合には、早めに専門医を受診しましょう。また、「脈が速い」というのはバセドウ病の典型的な症状です。病院では甲状腺のホルモン検査やエコー検査をおこなうのが一般的ですが、当院をはじめ、医療機関のなかには受診当日、それらの検査をおこなえるところもあり、結果がスピーディにわかります。特にうつのような状態が続くことは、本人にとってもつらいことだと思うので、もし気になる症状があれば、早めに専門医にご相談ください。