1点を惜しむと2点失うリスク…1点リードして守る7回表1死二、三塁 運命を分けた中日内野陣の“1人残し”
◇渋谷真コラム「龍の背に乗って」 ◇21日 中日1―0広島(バンテリン) もっと点を取れたとも思うが、それは広島も同じこと。同率5位ながら、首位・広島から挙げた5勝はすべて零封である。1分けも含めれば、何と8試合中6試合が無失点。2年前のシーズン6零封(広島戦)に迫る勢いだ。 ◆ドアラ、パ・リーグのマスコットキャラと”交流”【写真】 最大のポイントは7回だった。連打で無死一、二塁。新井監督は5番・末包に代打・上本を送った。もちろん送りバントのためである。決まって1死二、三塁。6番・坂倉に代打の切り札・松山を使ってきた。ここが勝負どころ。松山に小細工はない。迷うのは中日だ。どこまで同点を容認するのか。立浪監督は内野手4人のうち、一塁(中田)、三塁(高橋周)、遊撃(村松)には前進シフトを、二塁(田中)だけは定位置に守らせた。 「ああなれば(二、三塁)同点は仕方ないともベンチは考えます。引っ張りに行かせた方がいいのかなというのもあったし、狙って二塁にゴロを打つのも難しい。ショートも下げないで良かったです」 投手を含めれば5分の4はゴロが飛べば本塁に送球して、三塁走者を殺す。5分の1の田中の前に転がれば、同点はあきらめる。中途半端だという考えもあるだろうが、全員が前進シフトだと逆転の二塁走者のリードは一気に広がる。1点を惜しんで2点を失うリスクも高まるのだから、僕は1人残しに賛成だった。 「松山は引っ張りの打者だし、強い打球がいくとしたら二塁の可能性が高い。その上でバッテリーは引っ張らせない配球をしてくれましたよね」 堂上内野守備走塁コーチがベンチの思いを付け加えてくれた。誰もがゼロを望むが、最悪(逆転)を回避するための保険は必要だ。守備陣形を見て、松山には二塁に転がすべきかと雑念が入る。バッテリーは引っ張らせまいと強い球を外角に投げ込む…。村松がゴロをさばき、三走を仕留めた。 互いにとって最大のピンチとチャンス。ちなみに広島は首位を走ってはいるが、何と今季15試合目の無得点(3分け12敗)である。
中日スポーツ