「王国」の技に感嘆 日本伝統工芸展金沢展、県立美術館で開幕
第71回日本伝統工芸展金沢展(日本工芸会、北國新聞社など主催)は25日、金沢市の石川県立美術館で開幕した。県内在住の人間国宝10氏による逸品をはじめ、気鋭の若手からベテランまでの286点が披露され、「工芸王国・石川」に受け継がれる技と美に来場者が見入った。 日本伝統工芸展は、金沢市出身の漆聖・松田権六(ごんろく)氏(文化勲章受章者、蒔絵(まきえ)人間国宝)が中心となり、1954(昭和29)年に始まった公募展。会場には陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門の入賞作や県内からの入選作などが並んだ。 日本工芸会総裁賞に選ばれた原智さん(金工、金沢市)の「鐵地象嵌花器(てつじぞうがんかき)」は、独自の象嵌技法による細やかな表現が光る。文部科学大臣賞の⻆間泰憲さん(木竹工、同市)による「神代杉造箱(じんだいすぎづくりばこ)」、日本工芸会奨励賞の田中義光さん(漆芸、輪島市)の「蒔絵箱(まきえばこ)『盛夏(せいか)』」も来場者の目を引いた。 開会式では、日本工芸会の中田一於監事があいさつし、馳浩知事の祝辞を浅野大介副知事、村山卓金沢市長のメッセージを新保博之副市長がそれぞれ代読した。日本工芸会石川支部長の砂塚隆広北國新聞社社長、善田善彦県議会議長らが加わりテープカットした。 会期は11月4日まで。入場料は一般900円、大学生600円、65歳以上800円、高校生以下は無料となる。27日は、山村慎哉金沢美大学長と彫金人間国宝の中川衛さんが記念対談する。29日は、日本工芸会総裁を務める秋篠宮家の次女佳子さまが視察のため訪問される。