アップルの開発者会議きょう開幕、AIの主要勢力になれるか正念場に
(ブルームバーグ): 10日開幕するアップルの世界開発者会議(WWDC)は、スマートフォン「iPhone」を手掛ける同社が急成長する人工知能(AI)分野で主要プレーヤーになれるかどうかが明らかになる。新時代への適応を迫られる同社にとって正念場と言える。
アップルはAIの初期のパイオニアで、写真加工や健康機能、デジタルアシスタント「Siri」などで利用してきたが、今では出遅れ組と受け止められており、特に過去2年間にはオープンAIのチャットボット「ChatGPT」など最先端技術が登場して後塵(こうじん)を拝している。
そんな中、アップルは米太平洋時間10日午前10時(日本時間11日午前2時)に開幕するWWDCの基調講演で、AIの実力を披露する。事情に詳しい複数の関係者によると、同社は「アップル・インテリジェンス」と呼ぶ一連のAI機能を公表する予定だ。
アップルは2011年に音声アシスタント「Siri」を発表したが、同技術はすぐにアマゾン・ドット・コムの「アレクサ」やアルファベットの「Googleアシスタント」に追い抜かれた。AIは22年末にオープンAIのChatGPTでさらに飛躍し、23年にはグーグルやマイクロソフト、メタ・プラットフォームズなどから競合サービスが登場した。
スマートフォンでアップルにとって最大のライバルであるサムスン電子は今年、グーグルのAI機能を自社のデバイスに統合した。
アップルが技術を磨いてライバルに追いつくことができれば、AIへのシフトは同社にとって大きなチャンスとなろう。AIベースの基本ソフト(OS)は情報収集やコンテンツ作成・編集、デバイス操作の方法を変える。
今回のイベントでアップルは、次期OSの「iOS 18」と「iPadOS 18」、「macOS 15」にAI機能をどう組み込むかを示す。また、Siriのより強力なバージョンも計画している。
アップル・インテリジェンスは、ユーザーが必要とする時に、より多くの情報を提供することに重点を置く。これには、通知やテキストメッセージ、電子メールの要約、会議メモの合成、ボイスメモの書き起こし、カスタム絵文字の作成などが含まれる。また、電子メールをより分け、カテゴリー別に分類することもできるようになる。