「美しすぎる…!」90年代ドラマで存在感「千堂あきほ」演じる“お嬢様キャラ”の吸引力
■目まぐるしい1991年の活躍『愛さずにいられない』
ドラマに引っ張りだこだった90年代初期の千堂さんは、『東京ラブストーリー』が3月に終了すると、今度は10月からの日本テレビ系ドラマ『愛さずにいられない』に出演する。 本作は、吉田栄作さん演じる水木勉と東幹久さん演じる大野勇気、財前直見さん演じるヒロイン・二宮友子の三角関係がベースのラブサスペンス。今見ればつっこみどころも多いが、ジェットコースターのごとく目まぐるしく展開する、ハラハラドキドキさせてくれる作品だ。 当時の千堂さんは、まだまだ女優としてのキャリアは少なかったが、『東ラブ』で注目を浴びた直後ということもあり強い存在感を放っていた。演じたのは『東ラブ』の尚子同様のお嬢様役で、「山水」会長・斎藤大三郎の娘・香織。やはり、キリッとした美形の千堂さんは気が強く芯のあるお嬢様役がよく似合う。 一方で、お嬢様役という共通点はあれど尚子とは違い、香織の性格はややきつめ。父親の大野建設買収計画で跡取り息子・勇気と結婚しようと画策するが、破談になるとあの手この手で大野建設を衰退に追い込もうとする。 しかし、完全な悪ではないところも千堂さんの役柄の魅力だった。最終的には死亡してしまうが、自分の父を敵対視していた勉に惹かれると彼を助けるために父のこれまでの不祥事を暴いたのである。 本作出演時は、『マジカル頭脳パワー!!』(日本テレビ系)といったクイズバラエティにも解答者として出演し、人気を集めていた千堂さん。バラエティとドラマとで見せるギャップもまた、魅力を高めていた。
■織田さんとは2回目の共演『振り返れば奴がいる』
冒頭でも触れたように、1993年には1月からフジテレビ系で放送された三谷さん脚本のドラマ『振り返れば奴がいる』で、千堂さんは知名度と人気をさらに高めていく。 金を優先するアウトローな天才医師・司馬江太郎と、患者を優先する正義感の強い名医・石川玄という真逆な二人の確執を描いた本作は、医療ドラマというよりもはや憎悪渦巻くドロドロの人間ドラマ。後半になるにつれ、二人への印象が変わっていく展開も惹き込まれるが、今回の再放送で、ラストの展開に衝撃を受けた視聴者も多いだろう。 そんな本作で、千堂さんは司馬の元カノである麻酔科医・大槻沢子を演じていた。髪型は相変わらずややバブリーだが、白衣を着るとより美しさが際立っていた千堂さん。司馬役の織田さんとは『東ラブ』に続く二度目の共演で、役柄の性格はまったく違うが二人のやりとりを見るたびに不思議な気持ちになってしまう。 千堂さんは女性誌のインタビューで後に、「様々なアイデアが出るため台本が変わることも多く、セリフの書き換えでテイクが増えたりして大変だった」と当時を振り返っている。司馬が迎える展開も織田さんからのアイデアで急遽書き換えられたものだったそうで、かなりハードな現場だったことが伺える。 どんな作品でも存在感を残していた千堂さんだが、女優業を離れてから受けた各所のインタビューでは、「目まぐるしい芸能生活の中で華やかな”千堂あきほ”という役を演じていた部分もある」と語っている。本来の性格とは違う“キャラ”を求められることで、様々な葛藤もあったことだろう。結婚・出産、北海道への移住を経て、等身大の千堂さんを取り戻せたとすれば、ファンとしても嬉しい限りである。
さえきしの