ソフトボール高卒ルーキー井出久美が決勝打「自分が返して1点を取ろう」左投げ捕手 センバツVの母校に刺激
◆ソフトボール▽ニトリJDリーグ 第2節 ビックカメラ高崎 2―1 太陽誘電(20日、神奈川・茅ヶ崎公園野球場ほか) 今季初の「高崎ダービー」が行われ、昨季東地区優勝のビックカメラ高崎は同6位の太陽誘電を延長8回タイブレイクの末、2―1で退けた。1―1の延長8回2死一、二塁から7番の高卒ルーキー・井出久美が中前適時打で決勝点をたたき出した。投げては中国から来日した20歳の左腕・魏ユ辰が6回途中を1失点と好投。2番手の19歳・伊東杏珠、エース・浜村ゆかりへと継投し、勝利を呼び込んだ。 1―1で迎えた延長8回、無死二塁からのタイブレイク。ビックカメラ高崎は好機でエンドランが決まらなかったが、2死一塁から下位打線がつながった。6番・藤本麗主将が左前に安打を放つと、今春に健大高崎高を卒業した新人の7番・井出がカウント1ストライクから2球目の浮いた外角球を見逃さず、中前適時打を放った。決勝打となり「緊張をかき消すぐらいの勢いで打席に入りました。藤本選手がつないでくれたので、自分が返して1点を取ろうという思いでした」と笑顔。岩渕有美監督も「思い切りがいい選手。よく打ってくれた」とたたえた。 この日は一塁で先発したが、ソフトボールでは珍しい左投げの捕手。チームでは捕手と一塁の練習をしている。小学5年の時にクラブで始めると一塁や外野手を経て、強肩を生かし捕手に。「ソフトボールは左打者が多いので(二塁送球は)投げやすい」との利点もある。高校3年時の昨夏にはU―18日本代表でアジアカップに出場し、主将として優勝に導いた。「実業団はレベルが違いますが、今日のような緊張した時の一本は経験したからこそ出たのかなと思います」とうなずいた。 高校を卒業した今春、ビックカメラ高崎入り。2月の沖縄キャンプでは、五輪3大会メダリストの上野由岐子らの投球を初めて受けた。カーブやシュートなどの横系の変化球は、初めて見る軌道で「おおお…すごいな…」。捕球は「何とか」できたというが「ボールのスピードも違うし、キレも違う。ドロップとかは(変化が)大きく、最初は親指を持っていかれました」と日本を代表する偉大な投手の球を受け、刺激的な日々を送っている。 3月のセンバツ高校野球では母校の健大高崎が群馬県勢初優勝。「決勝は見られなかったけど、ずっと見ていて、もうすごいなあって。野球部も同じクラスとかにいました。野球部ではないけど、やっぱりうれしかったですね」と力に変えた。 ソフトボールは今夏のパリ五輪で種目から外れたが、28年ロサンゼルス五輪では種目復帰する。「憧れは(東京五輪金メダルで現在はチームのコーチ)我妻悠香さんしかいません。28年を目標に頑張っている。あっという間に来てしまうと思うので、いろんなすごい選手から吸収して早く一人前になれたらいいなと思います」と誓った。試合後はファンサービスで初々しい笑顔を見せたルーキーが、夢への道を踏み出した。
報知新聞社