コロナ禍や円安を経て戦略が分かれたオッポとシャオミ、その成否は?
日本市場への参入は後発ながら、コストパフォーマンスの高さを武器に低価格帯を中心として市場開拓を進めてきた、中国のスマートフォンメーカー大手であるオッポとシャオミ。ですが、コロナ禍や記録的な円安などで市場環境が非常に厳しくなるなか、両社の日本市場戦略にはかなり大きな差が出てきているようです。 【写真】シャオミは2024年5月に、スマートフォン新製品の1つとしてフラッグシップの最上位モデル「Xiaomi 14 Ultra」を日本市場に投入。ライカカメラと共同開発した非常に高い性能を誇るカメラが高く評価され、人気となっているようだ ■厳しい市場環境を経て2社の戦略に大きな変化が 2023年に国内のスマートフォンメーカーが撤退したことで、存在感を高めている海外メーカー。なかでも、日本への参入はかなりの後発ながら市場開拓を積極的に進めてきたのが、中国のスマートフォン大手であるオッポとシャオミです。 実際、両社が日本市場への参入を打ち出したのはオッポが2018年1月、シャオミが2019年12月と、ここ5、6年のこと。ですが、両社はともに世界のスマートフォン出荷台数シェアでトップ5に入る規模を持ち、そのスケールメリットを生かしたコストパフォーマンスの高い製品を相次いで投入。加えて、従来海外メーカーが消極的だったFeliCaへの対応を積極的に進めるなど、ローカライズにも力を入れたことで日本の消費者の支持を高めてきました。
とはいうものの、両社の参入以降、日本のスマートフォン市場は非常に厳しい環境となっており、国内メーカーの相次ぐ撤退もその環境変化が非常に大きく影響しています。コロナ禍による半導体不足、そして記録的な円安の長期化などによって、海外で生産するスマートフォンの価格は軒並み高騰。コロナ禍の前後で、スマートフォンの価格水準はミドルクラスで3万円台から5万~6万円台、ハイエンドで10万円台から20万円前後へと、大幅に上昇して購入しづらくなってしまいました。 加えて、2019年以降は政府によるスマートフォンの値引き規制が一層厳しいものとなっています。低価格帯の製品に強みを持つ2社にとって、この規制は当初プラスに働いたのですが、スマートフォン自体の価格高騰によって最近では規制がむしろデメリットに働くようになってきました。 そうしたことからここ数年の動向を見ていると、2社ともに一時は日本に投入する製品のラインアップが大幅に減少するなど、非常に厳しい状況にあった印象です。ですが、そうした状況を経た2024年、両社が投入する製品のラインアップを見ると、戦略にかなりの違いが出てきていることが分かります。 ■“攻め”のシャオミと“守り”のオッポ、功を奏するのは 厳しい市場環境にありながらも、あえて積極路線を打ち出しているのがシャオミです。2024年5月には、ミドルクラスのスマートフォン「Redmi Note 13 Pro 5G」「Redmi Note 13 Pro+ 5G」の2機種だけでなく、最上位のフラッグシップモデル「Xiaomi 14 Ultra」を高額ながらあえて日本のオープン市場に向けて投入しています。