空き家を放置したままにすると固定資産税が6倍に!? 空き家対策のための支援措置はないの?
平成26年に制定された「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)」が一部改正され、令和5年12月13日に施行されました。 総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、人が住んでいない住宅(使用目的のない空き家)の件数は、1998年の約182万戸から20年後の2018年で約1.9倍に増加しており、約349万戸となっています。その数は、2030年には470万戸に達する見込みとなっています。 今回の改正では、このように増加しつづける空き家に向けた、対応の強化が図られています。この記事では、最も影響が大きいと思われる固定資産税の特例解除を中心に、確認してみたいと思います。
固定資産税が6倍となる空き家の対象が増加
現行の措置(改正前)の下では、行政からの助言・指導による改善が見られないような場合に、市区町村長から勧告を受けた「特定空家」の敷地について、固定資産税の住宅用地特例を解除することとされています。その際、翌年の固定資産税が6倍となる場合があります。 今回の法改正では、この「特定空屋」の敷地に加えて「管理不全空家」の敷地についても市区町村長から勧告を受けた場合、住宅用地特例を解除することとなります。 そもそも固定資産税には、図表1のとおり、一定の住宅用地(小規模住宅用地等)について、課税標準の特例が設けられています。 図表1 固定資産税の住宅用地特例
特定空家とは、適切な管理が行われず「防災・衛生・景観」などの観点から住民の生活環境に悪影響が及ぶ可能性がある、と行政から指定された空き家のことを指します。以下の4つの基準に該当する空き家を、行政が指定します。 (1)そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態 (2)著しく衛生上有害となるおそれのある状態 (3)適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態 (4)周辺の生活環境の保全(保安)を図るために放置することが不適切である状態 また、管理不全空家とは「特定空家予備軍」ともいえるもので、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれのある状態、と認められる空き家を、行政が指定します。 令和5年3月31日時点の国土交通省・総務省調査によると、全国で特定空家等として把握されているのは4.1万件で、そのうち現存するのは1.9万件とされています。さらに、空家特措法の措置による除却や修繕等がなされたのは2万2148件とのことです。 ちなみに、法改正により勧告の対象となった管理不全空家については、市区町村で把握しているものだけで53.5万件とされています。 具体的な基準は各自治体が、国のガイドラインに沿って定めているので、確認が必要となります。