田舎暮らしを夢見て東京から福井へ 24歳の池田さん自然と人に包まれて新生活スタート
福井テレビ
福井テレビ報道キャンペーン「75万人の未来」。今回紹介するのは坂井市の東部に位置する丸岡町竹田地区。山が大部分を占めていて自然豊かな場所です。地区にある龍ケ鼻ダムの建設に伴い、人口流出が加速。1955年(昭和30年)には、人口が1000人ほどいましたが、今では270人を下回っています。そんな竹田地区に4月、農家になる夢をもち、東京からやってきた若者がいます。住民との関わりを通して竹田地区を見つめます。 坂井市丸岡町竹田地区。田植えの手伝いをしているのは池田英樹さん24歳です。4月に「緑のふるさと協力隊」として東京からやってきました。池田さんは、「昔からこういうことが好きで。大学3年のときに農家になろうと就活セミナーで話を聞いているときに、偶然(緑のふるさと協力隊を)見つけて面白いと思って応募した」と話します。 緑のふるさと協力隊とは、「地域おこし協力隊」のモデルとなった活動で、人口減少や高齢化に直面している農村と若者をつなげようと、30年前から地球緑化センターが続けている1年間の農村ボランティアです。池田さんは、毎月支給される5万円の生活費をもとに、農業やイベントなど地域のニーズに応じて住民の手伝いをしています。 竹田地区は13年前から隊員を受け入れていて、池田さんで11人目。初年度から隊員のサポートをしている竹内作左エ門さんは「小さい地域だからこそ協力隊を応援できるし地域の活性化にもつながる」と話します。 竹田の山を知ってもらおうと、竹内さんは、龍ケ鼻ダムの先に延びる林道に池田さんを誘いました。 「ちょんちょんと付いているこれがマタタビ。一緒にとってマタタビ酒をつくろう。水ぶきは、帰ったらすぐ食べれる。茹でたらおいしい。山には食べるものがたくさんある」と竹内さん、池田さんは春先に若い芽が伸びる山菜のイタドリを夢中で採っていました。たくさん持って帰って、ジャムにするなど調理方法を探るといいます。 水に濡れた岩肌が赤く色づき清流が押し寄せる「マスかえりの滝」。竹内さんは以前ここで、かつての緑の協力隊と一緒に整備しようと、二人で看板を作ったこともあるそうです。「今はダムができて変わってしまったが、昔はこの辺までマスが上がってきた」と竹内さんは当時を振り返ります。 また、樹齢何百年もあるという巨木のヒノキは、協力隊が来ると連れてくるそうで、地元竹田の人もあまり知らないそうです。「ここが竹田川の源流。ここから三国までいっている」という竹内さんの説明に、池田さんは興味深そうに聞き入っていました。 あたりは標高500メートルほどの山の中。そこには見事なブナ林が広がっています。池田さんは「竹内さんは山のことについて詳しい。1人目の(協力隊から)見ているので、頼もしく困ったら竹内さんに相談する」と言います。竹内さんは池田さんについて「体力もありそうで、頼もしい。地域の人も来てくれてうれしく思っているので期待している」と笑顔で話していました。 池田さんのあこがれる、竹田ライフが始まりました。 【取材記者のコメント:山田千代】 協力隊で竹田地区に派遣された10人のうち3人が坂井市内に移住を果たしています。任期を終えた他のメンバーも、祭りやイベントの際には竹田地区に戻ってくるといいます。少しずつ関係人口は増えていて、この地区には、山、川、田畑があり、田舎暮らしをしたい若者にとってはいろいろな体験ができる貴重な場所です。そして、何より住民たちが、地域外の若者を受け入れることを楽しみにかつ柔軟に考え、地域の魅力を丁寧に伝えようとすることが若者の心をつかんでいると感じます。
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