入館3400万人、文化観光の軸に 金沢21美、9日開館20年
●「映え」で若者引きつけ ●市内にギャラリー開設40超 金沢21世紀美術館は9日、2004(平成16)年の開館から20年を迎える。入館者は累計で3400万人を超え、市中心部の文化観光の軸となり、にぎわいを生み出し続けている。写真映えするスポットとして若者の心をつかみ、半数近くを10~30代が占める。現代アートの発信地として定着し、市内では21美が呼び水となって40を超えるギャラリーがオープンした。 【グラフ】金沢21世紀美術館の入館者数の推移 8日、21美の企画展「ラインズ―意識を流れに合わせる」(北國新聞社後援)には、カップルや小中学生、外国人らが鑑賞に訪れていた。「線」に焦点を当てた大小さまざまな作品を前に、立ち止まって見詰めたり、写真撮影したりして楽しむ様子が見られた。 21美は、難解でとっつきにくい現代アートを身近な存在として提示し、市民や観光客に受け入れられてきた。2018年度には過去最多となる258万人の来館者を数えた金沢の「キラーコンテンツ」の効果はそれだけにとどまらない。 「21美を中心に、種がまかれるようにギャラリーがオープンしてきた」 長谷川祐子館長が強調するのは、市内のギャラリーの開設状況だ。美術、工芸などのギャラリーがこの20年で44の施設がオープンし、現在も38施設が営業を続けているという。 こうした波及効果を支えるのは若者の存在だ。今年度の来館者アンケートによると、訪れた人の年代は20代が24%と最も多く、30代以下が47%を占める。村山卓市長は金沢美大の学生や卯辰山工芸工房の研修生らに触れ「美術や工芸を志す若い人に刺激を与えてきた」と力を込めた。 ●新幹線開業で急増 21美の入館者数は15年3月の北陸新幹線金沢開業後に急増し、15~19年度は230万人を超えた。20年度はコロナ禍で80万人台まで落ち込んだが、昨年度は197万人に戻った。今年9月末までの累計数は3435万5935人となった。 元日の地震で天井ガラスが約70枚破損し、一部が落下した。現在は応急処置を施して開館し、完全復旧は26年度以降を見込む。 村山市長は今後も21美を核に中心部のまちづくりを進める考えを示し、「唯一無二の魅力を生かし、周辺文化施設や香林坊、片町といった繁華街との連携を進めたい」と語った。