代表引退を発表した桃田賢斗

　バドミントン男子シングルスの元世界ランキング1位の桃田賢斗が4月18日、日本代表の引退を発表した。桃田は2018年と2019年には世界選手権を連覇するなど、日本のエースとして活躍した。 【写真】「こんな顔だったっけ」印象変化の桃田賢斗 　一方、オリンピックとは“相性”が悪かった。2020年1月、東京大会を前に遠征先のマレーシアで交通事故に遭い、右眼窩底の骨折が判明。初めて手術を受けた。その影響もあってか、オリンピックではまさかの一次リーグ敗退を喫した。 　引退会見では、決意をこう語った。 「2020年の1月の交通事故から苦しいこともたくさんありましたし、自分の中で思うようなプレイだったり自分なりに思考錯誤はこうやってきたつもりではいたんですけど、気持ちと体のギャップというか、そういうのが続いてく中で、このままその世界一にまた目指そうというところまで行けないなと判断した」 　長年の心労ゆえか、桃田から「変わった」印象を受けたという声がSNSで広がった。 《桃田賢斗ってこんなに痩せてたっけ？なんか顔が凄いコケてる》 《桃田賢斗めっちゃ顔痩けたな》 《桃田ちゃんってこんな顔だったっけ…》 　桃田の試練は事故だけではなかった。自業自得のピンチもあった。 「桃田は2016年のリオデジャネイロ・オリンピックを前に主要な大会を続けて制し、メダル候補とされていました。しかし、同年4月、桃田を含むNTT東日本の選手が都内の闇カジノ店で賭博をしていたことが発覚。桃田は同僚の田児賢一とともに記者会見で謝罪しましたが、無期限出場停止処分となり、日本代表から外されたうえにオリンピックの推薦も取り消されました。今思えば、これがケチのつき初めでしたね」（スポーツ紙記者） 　当時、絶頂にあった桃田を奈落の底に落とした闇カジノ店とはどんなところだったのか。本誌は2016年4月、このカジノ店を取材した。 　元店長は、常連客だった田児について「彼は最初から“初心者”には見えなかった」と明かした。JR錦糸町駅前の繁華街から少し離れた一角にフィリピンパブや韓国クラブが入る雑居ビルが軒を連ねる。その雑居ビルに同店がオープンしたのは、2014年10月。田児が店に現われたのはその年の12月だった。 「謝罪会見で『たまたま飲みに行った帰りに勧誘されたのがきっかけ』と言っていたが、警察の目があるのに『闇カジノ』に勧誘なんかするわけがない。田児のほうから『遊べるところはないか？』と聞いてきたんだよ」（元店長） 　店は警察の内偵を避けるために3カ月で閉店し、別の雑居ビル9階のフィリピンパブの跡に再び開店した。田児は移転後、頻繁にやってくるようになったという。 「田児は、いつも青いジャージの上下に青いジャンパーを着ていた。靴は運動靴で、練習場からそのまま来たような格好。ラケットを持った男女10人以上を連れてきたこともあったよ。全員ジャージ姿だった。全員が賭博をやったわけじゃないが、何人かはやっていた。そのうちの1人が桃田だよ」 　闇カジノ店はバカラ専門で店には3台のバカラ台があった。「バンカー（親役）」と「プレーヤー（子役）」のディーラーにカードを使った勝負をさせ、どちらが勝つかに賭けるのがルールだ。 「客は現金でチップを購入する。チップには1000円、1万円、10万円があるが、田児は10万円のチップを積み上げていることも多かった。勝つときも負けるときも100万円単位も珍しくないし、一晩で300万円くらい張ることもあった。桃田はおとなしくて、数万円単位の賭け方だったよ」 　大金を惜しげもなくつぎ込む田児は、店ではVIP扱いだったという。 「酒や食事はタダだし、タクシー代も店が持った。VIPには寿司を出前で取るサービスもあった。それでも、田児はトータルで500万円以上、桃田も100万円近くは負けているはずだ。うちは月の利益がピークで3000万円にもなったけどね」 　この闇カジノ店は2015年3月、警視庁の摘発を受けて閉店している。 「警察が入ったのは夜の11時半か12時ごろ。じつは当日の早い時間に田児が来ていた。警察が来たときに彼がいれば、現行犯逮捕されていただろうな」 　桃田は4月27日から開催される国別対抗戦・トマス杯を最後に日本代表を引退する。まだ29歳。違法賭博事件と交通事故さえなければ……と思うファンも多いのではないだろうか。