「心の準備を真剣に」孤立地区住民の避難所、“二次避難”進まないワケ
厳しい能登の冬。多くの被災者が住み慣れた家ではなく、避難所で過ごすことを余儀なくされている。地震の発生から約2週間が経過し、避難所はどんな状況に置かれているのか。 1月11日~15日にかけて、石川県輪島市の避難所に派遣された、三重県津市役所総務課・清水貴伸課長に話を聞いた。
看護師らが避難者たちの健康観察を実施
「道路にひび割れがあったりして渋滞がすごく発生していて、一刻も早くインフラが整備されないと避難所支援も進みにくいかなと感じました」 悪路を抜け、清水さんが向かったのは、輪島市西部に位置する門前東小学校。校内では、輪島市内の孤立地区から避難してきた約130人が、地区ごとに教室に分かれて生活していた。避難している人の約8割が高齢者だという。 対口支援として、三重県から輪島市に派遣された清水さん。当初は、輪島市役所の門前総合支所で支援活動を行う予定だったが、現地入りした11日時点で、市内に開設されていた167か所の避難所には1万562万人が身を寄せていいた。市の人口の約半分にあたる避難者を抱えたことで、運営にあたる市役所職員の数が不足。急遽、清水さんは避難所での支援へ移ることになった。
輪島市が震度6強の揺れに襲われてから10日。震災から数日が経過したタイミングだったこともあり、避難所の運営体制はある程度確立された状態だった。各地区ごとに住民から立てたリーダーが、運営側と住民側の橋渡しとなり、大きな混乱も見られなかったという。水道は使えない状態だったが、避難所内は清潔で電気も復旧していた。
しかし、清水さんが到着した翌日12日。避難者の中で新型コロナの感染が確認された。さらに、インフルエンザも流行。コロナ患者は個室、インフルエンザ患者は男女に分けてそれぞれ1室に隔離するなど、清水さんたちは対応に追われた。 当時の様子について、清水さんは「新型コロナに関しては、それぞれ個別の簡易トイレを設置して外でしてもらった。インフルに関しては人数が多くて個別トイレが対応できなかったので、看護スタッフと相談して、5台あるトイレのうち1か所をインフルエンザ感染者用のトイレにしていました」と振り返った。