【Playback箱根駅伝】97回/駒大が13年ぶり7度目の歓喜!創価大が大躍進の往路V&総合2位
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第97回箱根駅伝総合成績をチェック!
第97回(2021年/令和3年) 駒大10区で劇的大逆転 2区でヴィンセントが相澤超えの区間新
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、10月の出雲駅伝が中止。前回王者の青学大に、11月の全日本大学駅伝で6年ぶりに優勝した駒大、前回2位で全日本でも2位だった東海大に、青学大を抑えて全日本3位に入った明大の「3強+1」が優勝争いの構図となった。 1区は最初の1kmが3分33秒と近年稀に見るスローペースで幕を開ける。18km過ぎの六郷橋で集団がばらけ始め、最後は東海大の塩澤稀夕(4年)と法大・鎌田航生(3年)の競り合いに。鎌田が残り1kmでスパートを掛けて塩澤を引き離し、そのままトップでタスキリレーを飾った。法大は第76回大会の徳本一善以来となる1区区間賞。塩澤は5秒差の2位、15秒差の3位で創価大・福田悠一(4年)、連覇を狙う青学大・吉田圭太(4年)は18秒差の6位、3000m障害日本人学生歴代1位の記録を持つ順大のスーパールーキー・三浦龍司は31秒差の10位だった。 2区は東海大の名取燎太(4年)が1.4kmで法大を抜いてトップに立つが、14位でタスキを受けた東京国際大のイェゴン・ヴィンセント(2年)と3位集団から抜け出した創価大のフィリップ・ムルワ(2年)が猛追し、9.5km付近で名取をかわしてトップに浮上。ヴィンセントはムルワも置き去りにし、前回大会で東洋大・相澤晃が樹立した区間記録を8秒更新する1時間5分49秒で大学史上初の戸塚中継所トップ通過を果たした。 2位は創価大、3位は東海大と続き、同区間日本人トップ(区間3位)の好走を見せた日体大の池田耀平(4年)が4位で中継した。1区15位と出遅れた駒大は、田澤廉(2年)が7つ順位を上げ8位に浮上。前回覇者の青学大は13位まで順位を落とした。 3区は東海大のルーキー・石原翔太郎が序盤からハイペースで飛ばし、11.5kmで先頭の東京国際大をとらえて首位に浮上。1年生ながら区間トップの走りで2位に上がった創価大に34秒差をつけた。56秒差の3位に駒大が上がり、東京国際大は4位に後退した。 4区では前回10区で区間新記録を樹立した創価大・嶋津雄大(3年)が5.6km付近で東海大の佐伯陽生(1年)をかわすと、その後はトップを快走。大学史上初めて小田原中継所を先頭で中継した。駒大が2位に浮上し、鈴木創士(2年)が区間3位の好走を見せた早大が3位に浮上。以降は40秒以内に東京国際大、東洋大、東海大、順大、帝京大と続いた。 5区でも創価大の三上雄太が区間2位と安定感のある走りを披露し、出場4回目にして初の往路優勝を飾った。東洋大が区間記録保持者・宮下隼人(3年)の好走で2位に上がり、駒大は箱根路デビューとなった鈴木芽吹(1年)が粘りの走りで3位を死守。帝京大は細谷翔馬(3年)が区間賞の健闘を見せ、4位でフィニッシュした。 優勝候補の東海大は先頭から3分27秒差の5位と大差をつけられ、前回覇者の青学大は同7分35秒差の12位、明大も7分55秒差の14位と逆転が絶望的となった。 創価大は6区の濱野将基(2年)が区間7位、7区の原富慶季(4年)が区間2位、8区の永井大育(3年)が区間8位と危なげなく先頭をキープし、9区の石津佳晃(4年)が、区間記録まであと13秒に迫る歴代4位のタイムで区間賞を獲得。この時点で2位の駒大に3分19秒と大量リードを奪った。 しかし、10区で奇跡の大逆転が起こる。悠々と先頭を走っていた創価大の小野寺勇樹(3年)だったが、終盤にかけて徐々にペースが落ちていく。その間、駒大の石川拓慎(3年)がハイペースで猛追し、13km過ぎで1分57秒、16.5kmで1分17秒、18.1kmで47秒と一気に縮まった。20.9kmでついに石川が小野寺をとらえ、一気に逆転。駒大が2008年以来13年ぶり8度目の栄冠をつかんだ。 創価大は最後の最後でビッグタイトルを逃したものの、初出場からわずか6年で総合2位という好成績を収めた。 前回10位で連続3位以内が「11」でストップした東洋大が総合3位に返り咲き、往路12位から8つも順位を上げて復路優勝を手にした青学大が4位で意地を見せた。 一時は先頭に立った優勝候補の東海大が5位、7位の順大は2年ぶりにシード校へと返り咲き、10位の東京国際大は2区のヴィンセント、7区の佐伯涼(4年)と2つの区間賞が光り総合10位で2年連続シードとなった。 一方、全日本3位の明大は復路で巻き返したものの総合11位でまさかのシード落ちとなった。 大会最優秀選手に贈られる金栗四三杯はヴィンセントが留学生初の受賞となった。
月陸編集部