「米国TGIフライデーズ破産」も日本は好調!! トランプ新大統領で円安は進む
【経営者目線】 米国を代表するレストラン「TGIフライデーズ」が今月上旬、米連邦破産法11条の適用を申請した。私の青春時代の憧れのブランドであり、ワタミは「TGIフライデーズ」を日本で展開している。 今年は日本上陸25周年の節目でイベントも大盛況だった。破産は、あくまで米国の直営店の話であり、日本は好調が続いており、まったく影響はない。 各社の報道をみても、コロナ禍を理由にした説明が多いが、私はそれが理由ではないとみている。米国では、セルフサービスで、商品力が高い「ファストカジュアル」が台頭した。インフレの中、チップを支払わず、質の高い商品を食べたいというニーズに、米国のフライデーズは応えられなかった。日本は、家族連れやバースデーパーティーなどの需要が旺盛だ。友人のテリー伊藤さんなども、あの空間がいいと常連だ。ぜひ本場のアメリカンレストランを日本で楽しんでいただきたい。 さて、5日投開票の米大統領選で、共和党のドナルド・トランプ前大統領が政権に返り咲く見通しとなった。カマラ・ハリス副大統領にとって最大の敵だったのは「インフレ」だ。トランプはその不満を巧みについた。 日本への影響はどうか。トランプ氏は中国製品に60%の関税をかける方針を示してきた。中国の景気低迷に拍車をかける可能性もあり、日本もサプライチェーン(供給網)で影響を受け景気が低迷する可能性がある。トランプ氏がバラマキ政策を実行し、米国が国債を増発すれば、国債金利が上がる。日米の金利差はさらに広がり、円安となる。 先日、伝説のディーラーと呼ばれた藤巻健史参院議員と意見交換した。米国のインフレは収まっていない。資産効果(不動産、株)の影響は大きく、今後再利上げもありえると分析。さらに独自の視点として、トランプ氏の経済政策を受け、米国の財政赤字の拡大に世界が注目する時代が来るという。 各国との比較で、いままで目立たなかった日本の財政赤字がいよいよ注目され、日本円は信用を失い、世界で一人負けするとみていた。 ワタミが、米ラスベガスで展開する「サニー寿司」がおにぎりに参入したが、1個3ドル50セント(約550円)という、スーパー側の値付けに驚いた。ネバダ州でもトランプ氏が勝利したが、物価高に不満でトランプを支持したというのも納得できる。
米国人にとって救世主みたいな存在なのだろう。ただ、経済、外交政策ともに懸念はぬぐえない。米国の人気レストランも、良心の政策を推し進めた民主党政権も「インフレ」には勝てなかった。しかし、日本に待ち構えるのは「ハイパーインフレ」だ。財政ファイナンスに手を染めた国は例外なくその末路をたどっている。日本円は「紙くず」になると断言する伝説のディーラーもいる。アメリカを見ながら、今後何が起きてもおかしくない時代に、いよいよ入ってきたと感じる。 (ワタミ代表取締役会長兼社長CEO・渡邉美樹)