【12月FOMC後の米国株急落をどう読むか】テクニカル分析では「長期上昇トレンドの中での下落局面入り」の可能性、次の押し目買いの目安を算出
長期上昇トレンドの中での下落局面入りの可能性
筆者は、短期的には「調整」、長期的には「押し目買いの好機」と考えています。まず前提として確認したいのは、ナスダック(および他の主要指数もほぼ同様)が長期の上昇トレンドにあるという点です。 先程のチャートの図では、「上昇チャネルライン」が示されています。このチャネルは、主要な安値(2020年3月)と安値(2023年1月)を結んだ上昇トレンドラインを基準に、その間の高値(2022年11月)に平行に線を引いたものです。 上昇トレンドラインは、トレンドの方向性や角度、次のサポートライン(下値支持線。付近に来ると下げ止まって反発する値)の目安を示すに過ぎませんが、チャネルラインを引くことで上値の目安も明らかになります。 ナスダックは、この上昇チャネルラインの上値抵抗線に触れた後に下落へ転じているため、現状ではこのチャネルライン分析の有効性が高いと考えられます。つまり、短期的な下落局面入りの可能性が考えられます。また、この動きが利下げ回数減少という金融政策の転換点と重なっている点も、この可能性の高さを裏付けています。
一方で、長期の上昇トレンドが続いている点にも注目すべきです。次の押し目の目安は、このチャネルのセンターライン(上限と下限の中間のライン)に位置します。このセンターラインを割り込む場合には、サポートラインまで調整が進む可能性が高まるでしょう。 仮にこの調整が起こり、下落期間を1年程度と想定した場合、ナスダック総合指数は高値から30%程度の調整と予測されます。そのため、短期的にはリスク管理が極めて重要です。しかし、この調整は長期上昇トレンドの中で最も強いサポートに近づくタイミングでもあります。こうした長期的かつ俯瞰的な視点がないと、下落局面での買いは難しいものです。 もちろん、チャート分析は過去のデータをもとに傾向を分析ものに過ぎず、必ずしも予測通りに動くとは限りません。ただ、多くの投資家がこうした目安を意識していることも事実で、節目ごとに株価トレンドに変化が起こる可能性が十分考えられます。 そのため、投資家としては、合理的な行動が取れるよう準備を整え、複数の仮説を立てておくことが重要です。特に現在は金融政策の方向性が修正され、2025年1月20日にはトランプ次期大統領の就任を控え、株価の先行きが読みづらい状況です。 こうした時期こそ、視野を広げ、節目を確認し、自分なりの上昇と下落の仮説を持って臨むことが求められます。 【プロフィール】 森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。
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