異次元の極太脚を見せつける男 昭和世代の筋肉決戦制し世界への第一歩を踏み出す
ボディビルの「第36回日本マスターズ選手権」が9月15日に福岡・ウェルとばた(北九州市立福祉会館)にて開催された。男子のオーバーオール優勝を達成したのは、“脚男”の異名を持つ佐藤茂男だ。 【フォト&ムービー】極太かつ鋭いカットが入った日本一の脚を見よ 「いやー疲れましたね」 大会の感想を問うと、開口一番そう答えた佐藤。40歳以上から85歳以上までの選手たちが集う「マスターズ」大会だが、佐藤が出場した50歳以上級はその出場者の数の多さから、70kgを境に階級を分けて審査を実施。そのため、「50歳以上70kg超級」「50歳以上級オーバーオール(50歳以上70kg以下級との比較審査)」「マスターズオーバーオール(他の全階級との比較審査)」と、半日の中で3度の優勝を経ての金メダルだった。 もともと、自慢の脚を武器に体重別の日本一を4度経験し、日本選手権でもファイナリストの実績もあり。現在も当然その地位を狙える位置にいるのは確かだが、日本マスターズ出場は今回が初めてであった。 「2019年に猿山直史選手や河村秀美選手がIFBB世界マスターズ選手権で活躍されている姿を見て、自分も50歳になったら出てみたいなと思っていました。来月50歳になり今年から出場できる年ということで、50代も守りに入らずにチャレンジしていきたいと思い、出場を決めました」 1週間前には、静岡県で開催された日本クラス別選手権に出場。そこでは85kg以下級で惜しくも山本俊樹に敗れて準優勝に終わったが、あくまでピークは10月6日に大阪で行なわれる日本選手権。再びファイナリスト入りを目指していく。
「ここ一週間もそうですが、なかなか『こうやっていこう』と思っていてもその通りにはなりません。日本クラス別を終えて、マスターズに向けてもう一絞りと思い、摂取カロリーを減らしてもなかなか疲労が抜けないなという感じもあったり。なので、まずはその日の身体の状態を見ながら、一日一日の感覚を大事にしてここからもやっていこうと思っています。日本選手権で一番良い仕上がりになるように、準備していきます」 今回の日本マスターズ制覇により、次は世界の舞台での戦いも期待される。 「(ステージ上でのインタビューで)世界マスターズを目指すと言いましたが、まずは今年の目標は日本選手権。12月に男子ワールドカップがあるのでそこも出場できるのであればチャレンジしたいですが、世界は来年以降ですね。今日の日本マスターズ優勝は、国際大会でチャンピオンを目指す上での『スタート』、という感じです」 ゴリゴリの筋肉で圧倒的存在感を放つステージ上とはうって変わって穏やかな口調でそう語った佐藤。心の中に秘めた熱き闘志で、日本の脚男は世界の脚男を目指していく。
取材・文・写真/木村雄大