思い込めた100冊ずらり 手づくり絵本の会が20周年展 ストーリー構成から製本まで自分で/兵庫・丹波市
「たんば手づくり絵本の会」(村上祐喜子さん主宰)が、植野記念美術館(兵庫県丹波市氷上町西中)研修室で20周年展を開いている。ストーリー構成、執筆、製本まで全て自分で手がけるもので、丹波地域の会員9人が、思いを込めて制作した“世界に1つしかない絵本”が100冊以上展示されている。23日まで。 手作り絵本作家の村上さん(69)=大阪府茨木市=が、夫の実家がある春日町黒井に自宅を建てたのをきっかけに、「丹波でも手作り絵本を広めたい」と2004年に会を立ち上げた。丹波新聞社での講座を経て、現在は黒井の自宅で月1回の「絵本サロン」を開き、会員がアドバイスし合いながら制作に励んでいる。 今展示会は1人10冊を出品。自分の名前や、えとの「辰」を題材にしたもの、飛び出す仕掛けの絵本など共通テーマで取り組んだ作品と、自由に制作した作品を展示する。立体的に絵を重ねた共同作品も2点制作した。 会員は40歳代から90歳までと幅広く、最年長は唯一の当初メンバー、義積喜美子さん(春日町多田)。代表作「おばあちゃんの太平洋戦争」などを展示する。長澤かつ子さん(80)=丹波篠山市=も「孫に伝えたいことを書き留めておきたい」と、「戦後の追憶」を執筆。孫のことを題材にした作品も作っており、「身近なことを題材にできるのが手作り絵本の魅力」と話す。他の会員らも家族で出かけた思い出や、実家の木にまつわる話など、身の回りのことをつづった作品を多く制作している。 サロンで互いに刺激を受けており、「仲間に会うことで頑張ろうと思える。サロンはなくてはならない大切な場所」と前川千恵子さん(63)=丹波篠山市=。豊岡有里さん(55)=丹波市=は「先生が気持ちに寄り添ったアドバイスをくださるのでありがたい」と話す。 絵本は完成するまでに3カ月はかかるといい、「AIでいろいろなことが簡単にできる時代だが、手間をかけて伝える、手づくり絵本という文化もあると知ってもらえたら」と村上さん。「1冊1冊の作品から、丹波ならではの自然や人の温かさを感じられるのでは」と来場を呼びかける。 おじゃみや折れ本などのプレゼントも用意している。午前10時―午後5時(最終日は午後4時)。入場無料(手塚治虫展は入館料が必要)。会員も募集している。