「他人の男」を奪い続ける44歳女性の言い分「私、恋愛体質なんです」「女友達はいません」…関わる人を地獄に落としまくる恋愛模様の裏側
大人の女性のリアルな証言を、直木賞作家・唯川恵が冷徹に一刀両断した書籍『男と女:恋愛の落とし前』より、他人の男を奪い続けて20年絶対に関わってはいけない女性について書かれた章を一部抜粋、再構成してお届けする。
恋愛体質の女に近づいてはいけない── 「他人の男」を奪い続ける44歳
「私って恋愛体質なんです」 開口一番、彼女は言った。恋愛体質。久しぶりに聞くと、何やら懐かしい。若い頃、多くの女性がその単語を耳に、もしくは口にしたはずだ。 ある時期、恋愛至上主義の風潮があり、女性誌がしょっちゅう特集を組んでいた。女性週刊誌ananの「セックスで、きれいになる。」が注目された頃で、テレビドラマも小説もラブストーリーものが目立ち、恋愛エッセイもたくさん出版されていた。 私もうんと若い頃はそうだったように思う。人生と恋愛は同じ重さで存在していて、どれだけ真面目に勉学に励んでいようと、どれだけやりがいのある仕事に就いていようと、恋愛が充実していない人生なんて無意味なものと思っていた。あくまで若い頃の話である。今となれば、そんな能天気だった自分が気恥かしくてならない。 だから44歳になった今でもまだ自分を「恋愛体質」と言い切る彼女に、正直なところ、ちょっとひいてしまった。 「好きな人がいない状態が嫌なんです。常に恋をしていたいんです。若い頃は、それで友達の恋人を奪ってしまったことも何度かありました」 どうやら彼女は、恋愛体質だけでなく、略奪癖もあるらしい。
女として上だというマウントを取りたいだけなんでしょ
確かに実年齢より10歳は若く見える。美人というより可愛らしいタイプ。髪型、化粧、ファッション、仕草等々、男受けするという点においてすべて抜かりない。若い頃から男たちにさぞかしちやほやされて来たのだろう。当然ながら、彼女自身、自分が男受けする女であることを自覚している。 なぜ、他人の恋人を奪ってしまうのだろう。 「自分でもうまく説明できないんですけど、気が付くとそうなってしまうんです。友人に言われたことがあります。それは恋愛ではなくて、ただ他人のものがよく見えているだけだって。自分の方が女として上だというマウントを取りたいだけなんでしょって言われたこともあります」 実に的確な指摘である。 他人の幸せを受け入れられない、自分よりいい思いをしていることが許せない、まさに周りをひれ伏させたいという自己顕示欲だ。 しかし裏を返せばこうも見えてしまう。自分に自信がなく、孤独が怖くて、欲望をコントロールできず、判断力に欠けている。実のところ、奪う女の抱えている闇もまた深いのである。 奪った男とは長続きした? 「いいえ、だいたい3か月か、長くても半年ぐらいで駄目になるのがほとんどでした。あんなに好きだったのに実際に付き合ってみたら、友達が自慢していたほど大した男じゃないし、一緒にいてもそれほど楽しくないし」 これもセオリー通りの展開である。略奪女の目的は奪うことだから、それが叶った後はどんな男も燃えカスみたいなものになってしまう。 女友達はいないでしょうね。 「はい、いません」 きっぱり言われて、笑ってしまった。 「でも、やっぱり一緒にお喋りしたり買い物したりできる女友達は欲しくて。だから就職を機に決心したんです。もう他人の男に手を出すのはやめようって」 少しは成長したわけだ。