吉田志穂展『印刷と幽霊』10月30日から 複製したイメージで「見えるもの/見えないもの」の境界線を探る
東京駅すぐのアートセンター「BUG」で、10月30日(水)~12月1日(日)、吉田志穂の個展『印刷と幽霊』が開かれる。 1992年千葉県に生まれ、現在は東京を拠点に活動する吉田志穂。インターネット上の画像をフィルムカメラで撮影したり、実際に現地で撮影したりしたものに、暗室で加工を施し、画像化して紙に出力するなど、アナログとデジタルを往還させた写真作品を制作。さらにそうした身体的なアプローチとプリントでの光学的な作業が織りなす世界をインスタレーションで表現してきた。 2014年『1_WALL』(BUGを運営するリクルートホールディングスが2009~2022年に運営した公募展)でグランプリを受賞。2021年、東京都写真美術館で開催されたグループ展『記憶は地に沁み、風を越え 日本の新進作家vol.18』では、座礁した鯨の痕跡にまつわる作品で鮮烈な印象を残す。さらに写真集『測量|山』などで2020+2021年度『第46回木村伊兵衛写真賞』を受賞した期待のアーティストだ。 これまでは写真の現像やプリント、イメージの重ね合わせなどを手作業で行ってきたが、今回はオフセット印刷で大量に複製したイメージを用いて空間を構成する。印刷によって現れるイメージ。機械はときに人間が意図したイメージから外れ、肉眼で捉えることができないものを表出させることがある。それらをエラーとせず、機械と手を組むように委ねてみる。 これまでとまったく異なるアプローチに挑戦し、見えるもの/見えないものとは何か、その境界線を探ろうとする吉田。当たり前に接していた写真や印刷物が不思議な存在感を持って見えてきそうだ。 【開催情報】 吉田志穂個展『印刷と幽霊』 会期:2024年10月30日(水)~12月1日(日) 会場:BUG