バズる「公団ちゃん」 “オール北海道”がカーレースで狙う業界PR
黄色い車体に紅白のバンパーは、一見すると街中で見かける道路パトロールカー。そんなデザインのレーシングカーが話題だ。市販自動車を改造した車両によるレース「スーパー耐久シリーズ(S耐)」に参戦中の1台で、SNS(ネット交流サービス)では「公団ちゃん」の愛称で注目されている。「ネタ」のようなカラーリングだが、熱意は本物だ。 【写真まとめ】スーパー耐久シリーズに参戦している公団ちゃん 公団ちゃんはモータースポーツチーム「D.R.C EZO(エゾ)」のマシンで、ホンダの乗用車「フィット」がベース。1500㏄以下で争われるクラスにエントリーしている。 「D.R.C」は道産子(D)、レーシング(R)、クラブ(C)の略で創設2年目。2023年にS耐の一部のレースにスポット参戦し、24年は全7戦にフル参戦している。 公団ちゃん誕生の経緯はこうだ。前身のチームが資金難で23年の活動を見送ることになり、ドライバーの面野一さんがチームを引き継ぐことになった。 面野さんは面識のある栄建設(北海道岩見沢市)の佛田尚史社長(53)にチームの運営について相談。別のチームも手がけるほどのモータースポーツ愛好家の佛田社長はメインスポンサー就任を快諾し、面野さんと佛田社長が共同代表となって現体制が発足した。 栄建設は土木工事や道路維持管理などを担っている。体制刷新を機に業界のイメージアップやPRを図れないかと、マシンのカラーリングを道路パトロールカーのようにした。 チームは「オール北海道」を掲げ、共同代表からドライバー、エンジニアまで、道内在住者で構成。栄建設の社内には練習用のレーシングシミュレーターも設置している。 23年のS耐で早速注目を浴び、参戦初日についた愛称「公団ちゃん」は定着した。レースの中継映像に映り込むと、SNSでは「公団ちゃん」の文字が躍るという。 今後は好成績を残すことでモータースポーツの普及やチームのファン獲得を狙う。加えて、佛田社長は「会社では道路の維持管理や除雪などを担っている。仕事にプライドを持っているのでこのカラーリングになった。業界、企業のイメージアップになり、担い手確保につながればうれしい」と語る。 宮城県で4月にあった第1戦は完走12台のうち10位。第2戦は5月24日に始まる。佛田社長は「道内のドライバーにとって『公団ちゃん』のハンドルを握ることが最終目標となるようにチームで成長し、北海道のモータースポーツを底上げしたい」と意気込んでいる。【谷口拓未】