Netflix『ボーイフレンド』主題歌として話題に Glen Check「Dazed & Confused」バイラル上昇
Glen Check、ロマンチックなボーカルが魅力
2011年にEPアルバム『Disco Elevator』でデビューしたGlen Checkは、キム・ジュンウォン、カン・ヒョクジュン、ジェイボから成る3人組。デビュー当時から、エレクトロニカ、ポストパンクやニューウェイヴ、オルタナティブロックなど、メンバーの多彩な音楽ルーツを咀嚼/昇華し、シームレスに反映させた高い音楽性で各国の音楽ファンの注目を集めた。アルバム『Haute Couture』(2012年)と『YOUTH!』(2013年)で、韓国のグラミー賞とも呼ばれる「韓国大衆音楽賞(Korean Music Awards)」にて最優秀ダンス・エレクトロニック・ミュージック賞を2年連続で受賞。メンバーはバンド活動と並行し、クラブでのDJ、ジャケットワークにも携わるなど、ミュージシャンとしてだけではなく、多岐にわたり、クリエイターとしての才能も発揮している。 また、韓国内で多数のフェスに出演していることに加え、日本の『SUMMER SONIC』、フランスの『Nuits Sonores』やアメリカの『SXSW』、香港の『Clockenflap Music and Arts Festival』、ドイツの『Reeperbahn Festival』など、各国の著名フェスへの出演も果たしている。2015年には、日本で初の渋谷WWWでのワンマンライブを成功させ、根強い人気があるバンドだ。 「Dazed & Confused」は、イントロのシンセサイザーのフレーズが、80年代ニューウェイヴ経由のニューロマンチックを思わせるエレクトリックなサウンドがひとつの特徴である。ベースのリズムパターンも80年代半ばから後半のニューロマンチックそのもので、そのグルーヴの上を自由に浮遊するように洒脱なメロディが進行していく。サウンドのレイヤー、楽曲構成、サビでのコーラスの入れ方など、ディテールまで隙のない音が続くが、それでいて瑞々しい印象が残るのは、ボーカルの少し甘い声質、フレーズ最後の母音の抜き方による余韻、声をあまり張らないアプローチが理由だろう。「Dazed & Confused」は、バックサウンドはダンサブルで華やかだが、メロディの起伏があまり大きくなく、音域の高低差もそこまで広くない。ともすれば、淡々としてしまいがちな楽曲だと思うのだが、前述した声質を活かし、ロマンチックかつメランコリックなメロディとして聴かせることができるのは、楽曲解釈の能力に長けている証拠だろう。また、バンドそのものが、ボーカリストの声の良さを熟知し曲作りをしている証拠でもある。 実力と実績があるバンドの楽曲が、今、世界中で鳴り響いている。音楽配信サブスクリプションサービスのメリットというものを改めて感じた今週のバイラルチャート分析であった。 ※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-08-07
伊藤亜希