浦島太郎でSDGs絵本 自主制作 図書館に納本
岐阜聖徳学園高校(岐阜市)の生徒2人が昔話の「浦島太郎」にSDGs(持続可能な開発目標)の要素を盛り込んだオリジナル絵本「現代版浦島太郎物語」を制作し、国立国会図書館(東京都)や県図書館(岐阜市)などに納本した。「環境問題に興味をもってもらえれば」と期待している。(杉本奏)
「荒廃した竜宮城」
絵本を作ったのは、同校3年で同じクラスの河村友果さん(18)と大橋朋花さん(18)。9月に行われた文化祭で、クラスの出し物として環境問題を訴えるカフェを出店することになった。店のモチーフが「竜宮城」に決まったため、「せっかくなら」と絵本の制作にも挑戦した。 河村さんがストーリーを考え、大橋さんがイラストを担当した。主人公の浦島太郎が漁師の捨てた網に絡まっていた亀を助け、亀にお礼として海中の竜宮城に案内された。ところがそこは人間による不法投棄などで荒廃していた――という物語になっている。 河村さんは、社会の授業が始まる小学3年生以上を読者の対象に想定し、小学3年生でも読める漢字を使って、理解できる文章を考えた。 大橋さんは、イラストのアプリを使って絵を描いた。人の体のバランスを自然に描くことに苦戦したものの、クラスメートにアドバイスをもらって仕上げた。 製本も印刷会社には頼まず、校内のコピー機を使って自分たちの手で試行錯誤しながら全38ページの絵本を完成させた。
カフェには環境問題関連メニュー
文化祭で出店したのは、「溶けた氷河パフェ」「赤潮スープ」など環境問題に絡めたオリジナルメニューをそろえたカフェで、そこに絵本を置いて読んでもらうようにした。カフェに来た人たちは2人のオリジナル作品とは気づかず、「一から作りました」と言うと驚いていたという。 絵本は20部ほど制作。国立国会図書館には納本制度に基づいて9月に納めた。県図書館や岐阜市立中央図書館にも声をかけたところ、受け入れてもらえることになった。県図書館の担当者は「環境問題を子どもに分かりやすく説明している」と評価する。 大橋さんは「自分の描いたものが色んな人に読んでもらえるとうれしい」と喜び、河村さんは「絵本が地球の問題に興味を持つきっかけになってくれれば」と願っている。