[山口県]透明化でも…「見えないか」観光客ため息 瑠璃光寺五重塔改修工事シート 山口市
米有力紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が発表した世界各地の旅行先で山口市が3番目に選ばれたことを受け、県が進めていた、改修中の国宝「瑠璃光寺五重塔」(山口市香山町、香山公園内)の外壁シートの一部透明化が完了した。「訪れた人をがっかりさせないように」との思いで実施したものの、透明なポリカーボネート越しに内部の様子はほとんど見えず、県外から来た観光客からは「がっかりした」との声が上がっている。 五重塔は現在、令和の大改修中で建造物全体が外壁シートに覆われている。中の様子を見学してもらおうと、県は建造物東側面の2カ所(縦約13・5メートル、横約5メートルと縦約8・5メートル、横約5メートル)を透明化。3月中旬までに整備を終えた。シート内部のカメラで改修状況を視聴できるモニターの設置などと合わせ、事業費は約1千万円かかった。 高知県から観光で訪れた女性は外壁シートをしばらく見つめ、「山口市の観光地だからここは見んといかんねと思ってきたが、何も見えずがっかり。外国人観光客はもっとがっかりするのでは」、県内に住む男性(73)も「透明化したと聞いて来たが、やっぱり見にくい。もう少し工夫の余地がなかったのかな」と首をかしげた。 県文化振興課は「外があまり明るくない、曇りの日のほうが見えやすい」とし、「モニターと合わせ、内部の雰囲気を味わってほしい」としている。 村岡嗣政知事は1月の定例会見で、「(NYTによる山口市の選出は)訪日外国人(インバウンド)の誘客にとって絶好のチャンス。せっかく訪れたのに『全然見られなかった』とがっかりされないようにしたい」と述べていた。