「大坂の陣」を光の合戦絵巻で再現 ── 全国初の和のイルミ話題に
色鮮やかな光のイベント「あべの・天王寺イルミナージュ」が大阪市天王寺区の天王寺公園で開かれている。3回目を迎えた今年は、「大坂の陣400年天下一祭」事業の一環として、公園周辺が歴史の舞台となった「大坂の陣」を、光の合戦絵巻で再現。全国初の和のイルミネーションがお目見えし、しっとりした情感を醸し出し話題となっている。
天王寺・茶臼山は大坂の陣の激戦地
公園内にある小高い茶臼山は大坂の陣の激戦地。冬の陣では徳川家康が本陣を置き、大坂城を攻めたてた。夏の陣では豊臣方の名将真田幸村が布陣し、最後の決戦に挑んだ。 幸村らの善戦もむなしく豊臣方は敗れ、炎上する大坂城とともに豊臣家は滅亡。徳川幕府が天下を掌握するものの、幸村率いる真田十勇士が民衆のヒーローとなるなど、さまざまな真田伝説が受け継がれていく。 今回のイベントの主役は光の忍者たち。真田勢として活躍した忍者たちが光のパワーを得てよみがえり、光を放ちながら縦横無尽に走り回る。
陣幕に浮かび上がる光の「六文銭」
会場入口から茶臼山に至る500メートルの散策コースを陣内に見立て、陣幕に真田家「六文銭」の光の家紋が浮かび上がる。漆黒の闇から青白く輝く忍者たちが次々と現れ、音もなく躍動する様子は見ごたえ十分。幸村ファンにはたまらない光景だろう。 途中、ライトアップされた新世界の通天閣が遠くに見えてくるが、光の忍者がジャンプして通天閣を駆け上りそうな幻想を抱かせるのは、真田忍法のなせる技か。 茶臼山を望む河底池に、戦国時代に活躍した安宅船が浮かぶ。まばゆい船形のシルエットを水面に映す。光の忍者は水上を飛躍して安宅船に乗り移り、さらに茶臼山へ向かう。地元天王寺区の小学2年女児たちは「光がいっぱい」「忍者が走っている」「木も光っている」などと、喜んでいた。 茶臼山では光の炎などで戦いのイメージが演出されているが、ときおり寺町の鐘の音が風に乗って流れ響き、諸行無常の趣きすら漂う。和のイルミネーションは味わい深い。 午後5時30分~10時(点灯5時40分~9時30分)。大人(中学生以上)1000円、子ども(小学生以下)500円、3歳未満無料。開催は来年2月1日まで。くわしくは「あべの・天王寺イルミナージュ」公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)