名園の眺め、味わって 長野県松本市の百瀬家庭園、食事処に
江戸時代中期~末期の作庭と推定される、長野県松本市平田西1の市特別名勝「百瀬家庭園」が今秋、庭と料理を楽しむ食事処(どころ)「信楽(しがらき)」に生まれ変わった。傑出した石組みの池泉回遊式庭園として、昭和を代表する作庭家・重森三玲からも一目置かれた庭園。個人宅ということもありこれまで見学に制約があったが、多くの人に親しんでもらおうと所有者の百瀬徳子さん(75)が開店にこぎ着けた。 代々平田村の名主を務めた百瀬家の庭園で、東西に広がる約400平方メートルの園内に、馬の背状の築山や市内外から切り出されたという大小の立石が配置される。枯山水(かれさんすい)の形式を取り、流れる滝も石で表現。時代とともに少しずつ姿を変えたが昭和40年代に、この庭にほれ込んだ重森によって本来の姿に戻され、平成26(2014)年に文化財指定を受けた。 これまでも希望があれば事前予約で見学を受け入れ、全国から庭園の愛好家や研究者が訪ねてきた。ただ地元では知らない人も多く「きれいに草取りするたびにもったいないと感じていた」と百瀬さん。多くの人に愛(め)でてもらえれば庭も喜ぶだろうと、長男の昌伸さん(45)の後押しもあって10月末に信楽を開いた。 木、金、土、日曜日の午前11時~午後4時に開店し、骨董(こっとう)の漆器や瀬戸物を使いながら、庭に面した奥座敷で食事を出す。百瀬さんは「友人や家族の協力もあって実現した。四季折々の風情を楽しんでほしい」と話している。 問い合わせは繁忙時間帯を除く営業時間に信楽(電話0263・57・2722)へ。
市民タイムス