米国、ガスプロムバンクなどロシア50行制裁-経済の締め付け強化
(ブルームバーグ): 米国はロシアの主要金融機関であるガスプロムバンクに制裁を科した。退任が近づくバイデン大統領は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対して経済的な締め付けを強めている。
バイデン政権は以前、世界のエネルギー市場が動揺する可能性を懸念してガスプロムバンクへの制裁を見送っていた。だが、停戦交渉を推進すると見込まれるトランプ次期大統領の就任を前に、ロシアをくじき、ウクライナを手助けするあらゆる措置を米国は打ち出そうとしている。
イエレン財務長官は声明で「本日の制裁は、これまで制裁の対象とされていなかったロシアの大手銀行と、その他の金融機関、政府当局者を狙うものだ。ロシアの戦費調達能力をいっそう後退・低下させるだろう」と説明。「この包括的な行動でロシアは米国の制裁逃れや戦費調達がさらに難しくなる」と続けた。
21日発表された制裁では、国際金融システムにアクセスを持つロシアの約50行に加え、当局者15人程度が対象になると、米財務省外国資産管理局(OFAC)が発表文で明らかにした。
OFACの発表によると、6月28日まで三井物産や三菱商事などが参画する石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」の液化天然ガス(LNG)の日本への輸入は制裁の対象外となる。
これについて林芳正官房長官は記者会見で、米国による制裁を承知しているとした上で、「サハリン2」プロジェクトへの「影響が生じるものではないと認識している」と述べた。武藤容治経済産業相は、対象外とされる6月28日以降についても、「日本への安定的な供給確保に支障がないよう万全を期す」と述べた。
三菱商の広報担当者は、詳細は確認中だが、サハリン2に関する取引について影響がないと現時点では理解しているとコメントした。三井物の担当者は内容を確認中としており、丸紅の広報担当者はコメントを控えた。
ガスプロムバンクはロシアがウクライナ侵攻に使用する軍装備や資材の調達で決済を支援しているとして、非難されている。ロシア軍兵士の賃金やボーナス、戦死した兵士の遺族に対する補償の支払いを行っている疑いもある。