ホワイトソックスがメジャー史上最低勝率の危機 “記録保持”の1899年スパイダーズはその年で解散…
大リーグの年間最低勝率は1899年にクリーブランド・スパイダーズが記録した1割3分(20勝134敗)だ。ア・リーグ、ナ・リーグの2リーグ制となった1901年以降では、1916年のアスレチックスが勝率2割3分5厘で最低。そして今、最低勝率を塗り替えそうなチームがある。ホワイトソックスだ。 24日(日本時間25日)、ホワイトソックスは敵地でのツインズ戦に3―6で敗れた。これで6連敗。今季は3勝21敗、勝率が1割2分5厘となった。23日(同24日)の同一カードは5-2でリードしながら、8、9回に2点ずつを許して逆転サヨナラ負けも喫した。ペドロ・グリフォル監督は「勝たねばいけない試合だった」と頭を抱えるしかなかった。 この低迷の理由は、近年補強を控えていることなのかもしれない。2021年にア・リーグ中地区首位でシーズンを終えながら、地区シリーズで敗戦。グリフォル監督1年目となった昨年は61勝101敗で中地区4位に沈んだ。そして迎えた今季。エースとして期待されていたディラン・シーズを開幕直前に放出した。さらに、昨年38本塁打をマークして今季に大きな期待がかかっていた主砲のルイス・ロベルト外野手が開幕7試合目に右股関節を痛めて離脱。打力の低下は、すでに8度完封負けを喫している状況を見れば明らかだ。 では、スパイダーズはどんな状況だったのか―。1898年、スパイダーズは12チーム中5位だったが、観客動員も伸び悩んでいた。そしてその年の暮れ、当時のオーナー、地元の路面電車王だったフランク・デハス・ロビソンは、同じナ・リーグのセントルイス・ブラウンズ(1899年のみ名前はパーフェクトズ)のオーナーになった。そして、スパイダーズのレギュラー陣をパーフェクトズに移籍させた。その中には、メジャー最多の通算511勝したサイ・ヤング投手も入っていた。主力がごっそりいなくなったスパイダーズは、シーズンで連勝は2連勝が1度だけ、24連敗した終盤は41試合で1勝しかできなかった。そしてこの年をもって、解散となった。 ホワイトソックスはこの先どうなるだろう。ペナントレースから離脱すると、主力級を放出するのが近年の流れ。そうなれば、不名誉な記録まで一直線に進んでしまいそう。ただ、こんなデータもある。1988年のオリオールズは、開幕21連敗を喫し、開幕24試合時点で1勝23敗で勝率は4分2厘だった。しかしその後持ち直し、結局は54勝107敗の勝率3割3分5厘でシーズンを終えた。今季のメジャーリーグはトップの成績だけでなく、ビリの成績からも目が離せない。 (蛭間豊章=ベースボール・アナリスト)
報知新聞社