1区19年ぶり自民が奪還、2区二階さんは父の選挙区で敗れる
27日に投開票された衆院選で、和歌山県内2小選挙区では、自民党と無所属が1議席ずつを獲得した。1区は自民新人の山本大地さん(33)が日本維新の会前議員の林佑美さん(43)らを破り、2区は無所属新人の世耕弘成さん(61)が自民新人の二階伸康さん(46)らを退け、それぞれ初当選。区割り見直しで、県内は前回より1減の2小選挙区となった。比例に回った自民前議員の石田真敏さん(72)は早々に当選を決めた。 敗戦の弁を述べる二階さん(27日午後8時18分、和歌山県田辺市で)
1区・区割り見直し追い風か
「当選確実」の一報が届くと、山本さんは和歌山市の事務所に姿を現し、集まった支援者らと喜びを分かち合った。 山本さんは「この和歌山のために働く、市民や国民に寄り添った政治家になる。応援して良かったと言ってもらえる国会議員に必ずなる」と話した。 自民候補が1区で議席を得るのは2005年以来19年ぶりとなった。「1区奪還」という自民の悲願がかなった。 和歌山市単独の小選挙区だった旧1区では09年以降、民主党、希望の党、国民民主党に所属した岸本知事に5連敗。昨年4月の補欠選挙では、維新の林さんに屈した。 小選挙区の区割りの見直しで、保守層が強い紀の川市と岩出市が加わり、自民に有利に働くとみる向きもあったが、一筋縄にはいかなかった。 自民は「政治とカネ」の問題で、候補者の選び直しを余儀なくされた。公募で和歌山市議だった山本さんの擁立を決めたが、出馬表明は衆院解散の1か月ほど前だった。 出遅れを取り戻そうと、山本さんは大急ぎで準備に取りかかった。知名度アップを目指し、ポスターを各地に貼ったほか、企業や団体を一つひとつ回った。若年層などへの浸透を狙ってSNSも活用し、幅広い支持を集めた。
林さん及ばず
再選を目指した林さんは、小選挙区で議席を獲得することができなかった。 林さんは和歌山市議を経て、昨年4月の旧1区の補欠選挙で初当選。維新の候補として初めて県内小選挙区で得た議席だった。 その後、東京での仕事がない日は地元に戻り、地域をくまなく歩いてきた。選挙戦では、事務所スタッフと街頭に立ち、物価高騰対策や教育無償化などを訴えた。中盤には、維新の吉村洋文共同代表(大阪府知事)が応援に駆けつけ、支持の拡大を図ったが、及ばなかった。 推薦した前兵庫県知事の内部告発問題などで批判を受け、維新の党勢が低迷していることに加え、1区に野党候補が乱立し、政権批判票が分散した影響があったとみられる。 小選挙区での敗戦が決まると、林さんは涙を流しながら会場に現れ、「私の力不足でこのような結果となり、託してくれた人に申し訳ない」と話した。 林さんは比例での復活が決まった。