【阪神】FA大山悠輔の争奪戦を注視する若虎「チャンスが回ってくるかも」
国内FA権の行使を宣言した阪神・大山悠輔内野手(29)の争奪戦は、巨人とのTG一騎打ちになりそうな雲行きだ。生え抜きの4番打者が他球団へ流出するとなれば新生藤川虎へ与えるダメージは甚大。その一方、これまで出場機会に恵まれていなかった若手内野手たちは「自分たちにもチャンスが来るかもしれない」と状況を注視しているという。「超変革路線」も来年で発足から10年目。遅かれ早かれ訪れることになる新陳代謝の季節を乗り越えることはできるのか――。 20日に東京都内で行われたオーナー会議に出席した阪神・杉山オーナーは、報道陣に対して「人事の話を私から申し上げることはない」と大山についての質問を厳格にシャットアウト。情報戦、心理戦の側面も強い、FA戦線だけに多くを語ることはなかった。 粟井球団社長を筆頭とした虎フロントも全力で大山の慰留に努める構えを示しているが、最終的な決断を下すのは選手本人の権利。安定した長打力に加え、堅実な一塁守備力を誇る大山がタテジマを脱ぐことになれば虎の戦力には攻守で大きな穴が空くことになる。この日、260万円増の年俸1100万円(推定)で来季の契約を更改した高卒5年目外野手・井上は、秋季キャンプで本職ではない一塁守備に専念。これらの動きが〝万が一〟の事態を念頭に置いていることは明らかだ。 激烈な競争社会であるプロ野球界だけに、井上以外にも虎視眈々とチャンスを狙っている選手たちは数多くいる。ある若手内野手は「自分にもチャンスが回ってくるかもしれない。キャンプの実戦などで、打撃も守備もアピールしないと」と内心を打ち明ける。目の前に発生するかもしれない〝空席〟はこれまで出場機会に恵まれていなかった若虎にとって、自身の野球人生を左右するかもしれない大きなチャンスそのものだ。 2015年オフの金本政権発足とともに「FA補強に頼らない生え抜き中心の骨太のチームづくり」というコンセプトで推し進められた超変革路線は、昨季の38年ぶり日本一という形で見事に結実。球団関係者は「もし大山がチームを去るなら大きすぎる痛手だが」と前置きした上で「FAは本人が獲得した権利。〝新陳代謝〟で、その穴を埋められるか。今こそここまで継続してきた育成路線の真価が問われることになるのでは」と〝10年目の超変革〟を見据える。 大山自身も16年オフのドラフト会議で金本前監督の強い意向の下、1位指名された最初期の超変革世代。チームは今、大きな過渡期を迎えているのかもしれない。
東スポWEB