少年マンガなのに何故? 実写化されたら「グロすぎ」の声が出た名作たち
実写化されてわかった『ONE PIECE』の過酷な世界観
Netflix作品からもうひとつ、2023年8月に実写化され好評を博した『ONE PIECE』にも触れておきたいところです。物語の舞台は大海賊時代であり、海賊同士の激しいバトルも同作の魅力のひとつといえるでしょう。原作マンガにも破損描写や流血表現などが多々、見受けられるのですが、そこまで残酷とか、過激とかいった印象にならないのは、作者である尾田栄一郎先生のポップな絵柄によるところが大きいものと思われます。 ところが、これが実写化されるとそうはいきません。例えば幼いルフィが自分の顔を刃物で傷つける場面や、「アーロンパーク」編でナミが左肩の刺青に何度もナイフを突き立てるシーンは、多くの人の目に、原作以上に痛々しく映ったことでしょう。 また戦闘シーンにおいても、血しぶきが上がったり、体が真っ二つになるなどの人体破壊描写が見られたりと、リアルなグロさが際立っているため、そういった場面に耐性がない人からは「普通にしんどい」「いい実写版なのに心挫けそう」といった声もあがっていました。 劇場で公開された作品では、かつて「週刊少年マガジン」で連載されていた和久井健先生の『東京卍リベンジャーズ』も、実写版映画3作が「PG12指定(12歳以下の方には保護者等の助言・指導が必要)」となりました。主人公は冴えないフリーターの「花垣武道(タケミチ)」で、ある日タイムリープの能力に目覚めた彼は、不良だった中学生時代(実写版では高校時代)に戻り、かつての恋人を死の運命から救おうと奔走していきます。 SFの定番であるタイムリープものでありながら、半グレに片足を突っ込んだヤンキーたちの抗争を描いている同作には、たびたび暴力描写が登場します。バットや角材で相手の頭を殴るのは当たり前、倒れている相手の頭を踏みつけるような描写も見られました。 原作マンガにおいてもこうした暴力的なシーンは多々あり、これを生身の俳優が演じたことで、改めてキャラクターたちの暴力性を認識し、少しひいてしまった……という人も少なくなかったようです。実写オリジナルの場面では、1作目の冒頭で凶悪な犯罪組織となった「東京卍會」が、立体駐車場内で全裸のヤクザを車で追いかけ回して轢き半殺しにするという衝撃のシーンが描かれました。 また、特に話題となったのが、第3作目にあたる映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-決戦-』終盤で描かれた乱闘シーンです。大勢の不良たちが入り乱れて戦う場面には「ケンカの迫力がスゴい!」という称賛の声があがる一方で、「グロすぎてあまりちゃんと見られなかった」という声も聞かれます。 実写化によってグロさが際立ってしまう例はいくつもありますが、ここまで多くの人の心に刻まれ、話題となったのは、それだけ制作スタッフが原作の過激な部分も汲んで、本気で作り上げた証といえるかもしれません。 ※冴羽リョウの「リョウ」は、正しくは「けものへん+うかんむりなしの寮」
ハララ書房