Jリーグ開催前日に…総額20億“ドタバタ退団”へ 電撃オファーで移籍成立「衝撃的でした」【コラム】
Jリーグ界にも驚きを与えた大型移籍、クラブ側はハード面の充実という恩恵も
クラブ間の契約関係の手続きは無事に完了し、電撃移籍は成立となった。なおレナト自身は急いで中国に渡ったため、移籍後の日本の住まいの片付けや引越しなどの事後処理は中山通訳が行なったという。「大変でしたよ。(こっちに)投げっぱなしですから」と懐かしそうに笑っていた。 このレナトの売却によって支払われた移籍金は推定で約6億円と言われており、当時のJリーグでもトップクラスの金額だ。税金なども含めると、広州富力が支払った総額は約20億円近いとされており、中国の「爆買い」による大型移籍は当時のJリーグ界にも驚きを与えた。 結局、シーズン中に主力を失った川崎は、第2ステージを7位で終え、この年も無冠に終わった。ただその多額の移籍金は現在のクラブハウス建設費に使われたとされており、このハード面の充実がクラブの躍進に貢献したこともよく語られるところである。 なお現在のレナトはというと、母国で現役を続けているようだ。 2015年から20年まで広州富力に所属し、21年にはブラジルに戻ってプレーしている。しかし23年に所属したアマゾネスFCを退団後、現在は無所属のようである。レナト本人と連絡を取ることもあるという中山通訳は、こんなやりとりを笑って明かしてくれた。 「今はチームがないみたいです。まだ現役を続けたい意思はまだあるみたいで、それこそ先週ぐらいに『フロンターレに戻れないかな?』と連絡が来ました。『無理だよ。何を甘えてるんだ!』って言っておきました(笑)」 レナトは現在35歳。移籍金フリーで獲得できるはずである。左利きのブラジル人ドリブラーに興味のあるクラブは、コンタクトを取ってみてはどうだろうか。 サッカービジネスと切っても切り離せない移籍話。今も昔も、そこには選手の人生がある。
いしかわごう / Go Ishikawa