VTuber事務所に公取委が注意勧告のウラ CGデザイナー「基準がインフレしてしまった」
人気VTuberが所属する「ホロライブプロダクション」などを運営しているカバー株式会社(東京・港区)が公正取引委員会から下請法違反で注意勧告を受けた。2Dモデルなどを発注した際に、複数回にわたって無償のやり直しを命じていたほか、代金の未納・支払い遅延問題などがあったという。 【写真】後藤真希が〝VTuberデビュー〟 東証で新興企業向けのグロース市場上場のカバー社は、コロナ禍の巣ごもり需要がひと段落しても好調な売り上げをみせている。そんな同社が10月25日、公取委から勧告を受けていたことが明らかになった。公取委の報告書によると、動画用の2Dモデルや3Dモデルの作成を下請事業者23人に依頼し、22年4月から23年12月までの間、合計243回もの〝やり直し作業〟を無償で行わせていたという。 事情に詳しいCGデザイナーの話。 「VTuberのモデル(アバター)を制作する際は、原案となるイラストを絵師が担当し、そこからモデラーと呼ばれる技術者がリアルな動きを付けていくかたちが主流です。ただイラストによっては装飾品や髪の毛束といった細かい部分のモデリングまで要求されるので、ライバーさんの理想とする動き方に応えるために修正していたらキリがないっていうのは本音です。場合によっては、動きに幅を出すために絵師さんにイラスト素材を追加発注することもあるんです」 同デザイナーによると、業界の発展に伴い、この数年間でCGデザインの技術が爆発的に向上した結果、「基準がインフレしてしまった」ようで、ライバーから要求されるレベルは高くなっているという。 また芸能事務所幹部は、発注事業者が仕事内容を明示することが義務付けされるフリーランス新法が11月1日に施行されたことにも触れ「今回のケースは、新法で適用対象とされている企業対個人で問題が発生したケースであり、企業側が履行義務を怠っています。タイミング的に、〝見せしめ〟だった可能性はささやかれていますね」と指摘した。カバー社も本騒動を謝罪したうえで、新法制定に触れている。
東スポWEB