マカオ独特の道路名表示板を手抜き製作…受託業者の男ら詐欺容疑で逮捕
マカオの道路名表示板といえば、ポルトガル伝来のアズレージョと呼ばれるタイルを用いた趣のある造りで、エキゾチックな町並みに彩りを添えるものとして、広く市民や観光客に親しまれている。 近日、一部の道路名表示板につき、著しい退色や欠損が確認され、製作方法に問題があるのではないかと市民の間で話題となっていたが、マカオ司法警察局は9月17日、マカオ市政署から製作を受注した元請業者のマカオ居民の男1人と一次下請け業者の中国本土居民の男1人の計2人を契約内容に違う手抜き製作をした疑いで逮捕したことを明らかにした。
同局によれば、当該受注業者は入札を経て2023年6月に362点分の製作を約110万パタカ(日本円換算:約1940万円)で受注。契約では、釉下彩(釉薬の下に色絵具で文字を描いて高温で焼き上げる)手法で製作すること、また関連する検査報告を提出することが必須とされ、元請業者は同年9月にサンプル及び中国本土の検査機関による報告書を提出し、市政署による審査をクリアしていたものの、後の市政署による巡回検査で、44点が欠損、その他の大部分についても退色が確認され、タイルの表面にプリントしただけの手抜き製作を行った可能性が浮上したとのこと。通報を受けた同局が捜査を行った結果、これが裏付けられたという。 9月16日、同局が上述の男2人を逮捕。同局の調べに対し、いずれも直接製作には関わっていないと供述。元請業者の男は受注後すぐに一次下請けに発注し、釉下彩手法で製作するよう指示したものの、双方の間で協議書などは存在しなかったした一方、一次下請け業者の男は元請と市政署の契約内容に基づき中国本土でタイルを仕入れたが、元請業者から製作手法に関する指示はなかったと説明したとのこと。
同局では、捜査で得られた情報を総合判断し、上述の男2人を貨物詐欺罪で検察院送致するとともに、他に関わった人物の有無など引き続き徹底した捜査を続ける考えを示した。 このほか、マカオ市政署は17日、問題のあった道路名表示板について再製作の対応を進めていると発表。釉下彩手法で製作するのに一定の時間を要することから、完成のめどは今年(2024年)第4四半期内になる見込みで、臨時措置として紙を貼る対応を行うため、公衆に対して剥がすなどの行為をしないよう呼びかけた。