妹を殺害された大阪の社長が“犯罪者の更生”に尽力 仮釈放された犯人と対面も…10年の記録が映画公開
テレビ大阪制作のドキュメンタリー映画『おまえの親になったるで』(北岸良枝監督)が、大阪・十三の第七芸術劇場で24日から公開される。 【写真】脚本家を志して渡米…殺害された草刈福子さん 2013年、大阪の中小企業7社が集まり、元受刑者に住まいや仕事を提供し、再犯を防ぐ「職親プロジェクト」が発足。参加者の中に複雑な思いを抱えた男性がいた。 それは大阪の建設会社・社長の草刈健太郎さん。草刈さんには大切な妹を殺された悲しい過去があった。 当初、活動に気が進まなかった草刈さんだったが、ある青年との出会いをきっかけに更生支援に尽力する。しかし、裏切られることは日常茶飯事。窃盗・薬物・詐欺など、再び犯罪に手を染める者たち…。それでも草刈さんは親のように見守り続ける。 更生支援の活動を始めて7年。ロサンゼルスの刑務所に服役中の妹を殺害した夫が仮釈放される知らせが舞い込んんだ。一度も謝罪も手紙もないが、面会することを決意する…。 “加害者をなくせば、妹のような悲劇を生まない”と、妹から届いた使命だと胸に刻み、更生へと歩んだ10年。その思いは、どこまで実を結んだのか。元受刑者の生き直しや教育・社会の問題も浮き彫りしたヒューマン・ドキュメンタリーが「劇場版」として上映される。 2023年12月には、三重刑務所で鑑賞会を開催。受刑者たちはスクリーンを見つめながら、あふれ出た涙を作業タオルでぬぐった。 草刈さんも登壇し、諭すように人生の再スタートへエール。10年以上服役しているという受刑者は「命を大切にされていると感動し、涙があふれてきました…」と思いを語った。 ■北岸良枝監督 コメント この映画の出来事は決して他人事ではない。 私たちは皆つながっている。 憎しみの連鎖、不幸の連鎖、大切な人たちを守るためにも 今すぐ断ち切らねば、世界は暗闇のうちに消える… 「過去は変えられないが、未来は変えられるー 未来が変われば、過去も変わる」 そう信じてもがきながら、歩みを進めた人たちの10年の記録です。この思いが伝播することを願っています。 草刈健太郎さんの妹で被害者の草刈福子さんの将来の夢は、映画の脚本家で、それを目指して渡米しました。映画化はそのことを含めてここに至る、全ての人たちとのご縁だと思っています。感謝します。