登山道脇のサプライズ・サプライヤー「ヤマキノコたち」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #29
登山道脇のサプライズ・サプライヤー「ヤマキノコたち」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #29
登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します! きらびやかなショッピングモールの飾り付けに迫る年の瀬を感じさせる、今日このごろ。すでに販売されている十二支の和菓子に「まだ上旬だぜ? ワイルドだろぉ? 」と古き善きツッコミを入れたくなるほど、気忙しくてモヤっちゃいます。ところで、山を歩いていてふとミステリアスなモヤに包まれる瞬間、ありますね。そう、キノコを見つけたときです(強引なこじつけ)! ということで今回は、年に一度の番外編。山で新鮮なオドロキを与えてくれる、ヤマキノコたちにご登場いただきましょう。
ニッポンを席巻する?毒キノコ
Data ベニテングタケ(テングタケ科) 一般的な発見時期:8月~10月 おもな生育場所:山腹や山麓の林内。 「見た目からして毒キノコやん! 」とだれもがツッコむ。あまり自然に興味はないが、つい写真を撮ってしまう。そして……なによりマリオがおっきくなるアレ(スーパー●●)に似ている……。今回の連載のトップ画としたのは、ベニテングタケの幼菌(子ども)で、成熟して傘が開いたのが、こちらの写真。毒性は「幻覚作用」とありまして、どの図鑑でもバッテンがつくキノコですが、その神秘的なお姿は美しいのひと言! ちなみに食べた方のレポートによると、「けっこうおいしい。幻覚は出ず、少しお腹を下したくらい」だそう。絶対マネしちゃダメですが、このお声はムダに貴重過ぎますっ。
見つけたら小おどりしちゃうやつ
Data ハナイグチ(イグチ科) 一般的な発見時期:8月~10月 おもな生育場所:カラマツ林内。 いきなりの毒スタートとしたのはナゼって? そりゃ、読者が毒キノコ好きだから! (決めつけだけど、当たってるでしょ)。そしてその対極にあるといっていいのが、食用になるキノコですよね。「天然モノって、本当においしいの? 」。……この質問は、ハナイグチさんには愚問です。だって、ヌメリあり、適度なサイズ感あり、まとめて収穫可能、出汁が出るので煮込んで和食によし、クリームパスタは絶品ときたもんだ。ちなみに、カラマツとの共生関係にあるので、道路沿いのカラマツ林帯なんかでゲットできちゃったり。私は見つけると、たいていおどっています……むろん、マネしちゃダメYO(笑)。