「自分に置き換えて感情移入しながら見ていた」ダルビッシュ対大谷の対決に興奮しつつ、今永昇太は着実に開幕を見据える<SLUGGER>
今季から指揮を取るクレイグ・カウンセル監督はスプリング・トレーニングが始まった頃、「ショータも他の先発投手たちと同じスケジュールで調整していく」と言いながらも、実際には他の投手が中4日が多かったのに対し、中5日の登板間隔で調整してきた。 つまり、今永のオープン戦登板は、26日のカーディナルス戦を残すのみである。そこから中5日だと、敵地での開幕カードのレンジャーズ戦での登板はなく、ホーム開幕戦となる4月1日のロッキーズ戦での、メジャーデビューが有力だ。そして、そこからさらに中5日で待っているのが7日のドジャース戦である。 「どうなんでしょうね。それはいざそうなってみないと。そういう気持ちはまだ分からないですけど、ドジャースの打線は素晴らしいですし、パドレスも本当に素晴らしい打者が揃っているので、皆、本当に強く踏み込んでるなっていう印象はありますね」 彼は現地では午前3時開始の韓国シリーズの初戦、ダルビッシュ対大谷翔平の対決を「観ていた」と言う。 「自分にむちゃくちゃ置き換えて、ちょっと感情移入もしながら、見てました。 「4回かな? ダルビッシュさんが2死満塁で(マックス・)マンシー選手を三振に獲ったんですけど、ダルビッシュさんでも四球を出してしまったりとか、見てるこっちも緊張感が伝わりましたし、最後に三振を獲った時の雄叫びと言うか、あそこで抑えるところが、ダルビッシュさんの強さなんだなと感じました。松井(裕樹)選手も投げていたので、僕も負けないようにと言うか、早く追いつきたいなって気持ちで見てました」 「大谷選手に投げることもイメージしながら見てましたね。どこに投げれば、打ち取れるんだろうとか、どういうスウィングの軌道で打ってるんだろうとか、興味があるので。もちろん、どの打者もそうですけど、そんな風に見てました」 勝負師=ピッチャーとは、そういうものなのだろう。 4年総額5300万ドル(約77億4千万円)の大型契約を交わしたのだから、オープン戦の結果はあまり問われず、開幕メジャーを迎える立場だが、今永はそれを承知の上で早くから「結果を出したい」と言ってきた。 「周りの方は『スプリング・トレーニングだから』っていう、『あまり気にするな』ってことも言葉をしていただきますけれども、しっかり結果を残さなければ認めてもらえないと思うので、皆さんに認めてもらえるような数字が並べば良いかなと思います」 確固たる地位を築き上げて、カブスのチームメイトに、カブスのファンに、メジャーリーグのファンに「Shota Imanaga」という存在を認めてもらうこと。 メジャー1年目にもかかわらず、泰然とした態度を武器に粛々と開幕準備を進めるその姿を間近で見ていると、その日がやって来るのもそう遠くない未来だと思える。 「いよいよ始まるなという気持ちもありますけど、正直まだ自分がアメリカにいる実感がそこまで湧いてない。おそらく、初登板のマウンドに立つ時には、今まで味わったことがないような緊張感だったりとか、そういったものになるでしょうし、いいイメージを膨らましながら、あと数日、調整したいと思います」。 文●ナガオ勝司 【著者プロフィール】 シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO
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