ダウ一時初の4万ドル台、利下げ観測が追い風 PERの高さを懸念する市場関係者も
米国株式市場では16日、ダウ工業株30種が取引時間中に史上初めて4万ドル台に乗せた。経済指標でインフレ鈍化が示され、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が高まったことに加え、好調な企業決算が追い風となった。ただ、その後下げに転じて終値は反落した。 ダウはFRBによる大幅な利上げにもかかわらず堅調な米経済成長を背景に、2022年10月に付けた安値からの回復を遂げた。 S&P総合500種とナスダック総合も不安定な値動きの中、一時の高値から押し戻されてマイナス圏で取引を終えた。S&P500の主要11セクターは主要消費財を除く10セクターが下落した。 インフレ率は3カ月連続で予想を上回る上昇が続いたが、15日に発表された4月の消費者物価指数(CPI)上昇率が予想を下回ったことから、インフレ鈍化への楽観的な見方が広がった。 だがPER(株価収益率)の高さを懸念する市場関係者も。 パッカーETF ショーン・オハラ社長 「FRBの発表に基づけば、市場の動揺は今後も続くと思う。そしてやや懸念されるのは、市場全体がまだ22倍から24倍といったかなり強固なPERで取引されていることだ。来年のS&Pの収益が270ドル相当と予想されるなら、20倍で5400ドルとなり、現在地からそう遠くない。しかし、収益が下振れするようなサプライズや、利下げに関してFRBがこれ以上頑固になるようなことがあれば、今後、こうした高いバリュエーションが障害になるだろう」 CMEのフェドウオッチによると、市場は年内に2回の25ベーシスポイント(bp)利下げを織り込み、9月開始の可能性を70%と予想している。 米労働省が発表した5月11日までの1週間の新規失業保険申請件数は前週比1万件減の22万2000件となった。前週の増加から一転して減少に転じ、労働市場の底堅さが改めて浮き彫りになった。 小売り大手ウォルマートは約7%上昇。今後のインフレ鈍化によって食料品のほか必需品以外の売り上げが拡大することを見込み、通期業績見通しを上方修正した。 もっと見る 農機大手ディアは4.7%安。通期業績見通しを再び下方修正したことを嫌気した。 スイスの保険大手チャブは4.7%高。著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが同社株67億ドル相当を保有していることが分かった。 ミーム株のゲームストップとAMCエンターテインメントは続落し、それぞれ30%安と15%となった。 米取引所の合算出来高は約176億株。直近20営業日の平均は約115億株。 ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.2対1の比率で上回った。ナスダックでも1.17対1で値下がり銘柄が多かった。