60歳代で「貯蓄2000万円以上」は何パーセントいる?老後をラクにする資産形成の工夫3つ
貯蓄が減少する要因にはどんなものがある?
総務省の「家計調査報告」によれば、2023年の勤労者世帯の貯蓄現在高は1474万円となっており、前年に比べて34万円(2.3%)の減少となりました。貯蓄額が減少した要因としては、以下のようなことが考えられます。 ・賃金の伸びが物価の上昇に追いついていない ・支出額が増えている 賃金の伸び率が物価の上昇に追いついていないことは、貯蓄の減少の大きな要因です。前述のとおり国税庁の「民間給与実態統計調査」では、令和5年の日本の平均給与は約460万円、伸び率は0.4%との結果が出ました。 一方、同年の消費者物価指数の平均総合指数は2020年時点と比べて3.2%の上昇と、賃金の伸びを大きく上回っています。 賃金の伸びが物価の上昇に追いつかないと「給与が増えないのにものがどんどん値上げされていく」という悪循環に陥ります。 この状態が続くと、毎月のように赤字が発生して貯蓄を取り崩して生活しなければならない世帯が増えてしまうのです。 物価の上昇が止まらないと、支出額が増えていきます。収入・支出がともに増えるのであれば問題ありませんが、収入が変わらず支出だけが増えていけば、当然生活は苦しくなります。 貯蓄額の減少は、現在の経済状況を反映した切実な結果といえるでしょう。 では、貯蓄を少しでも増やし、余裕を持って老後を迎えるにはどのような工夫が必要なのでしょうか。次章で解説します。
老後をラクにする資産形成の工夫3つ
老後生活が楽になる資産づくりの工夫としては、以下のようなものが挙げられます。 ・支出を減らす ・NISAを利用する ・iDeCoで年金を増やす 貯蓄を増やすには、支出をどれだけ抑えられるかが重要です。また、お金自体をどのように増やしていくかも考える必要があります。難しく考えず、できることから始めてみましょう。 ●支出を減らす 毎月の支出を減らせば、その分貯蓄に回せるお金が増えて資産づくりがしやすくなります。食費や趣味の費用を大幅に削るのはストレスになる場合もあるため、毎月固定で発生する光熱水費や通信費などを削減するのがおすすめです。 たとえば、通信費はスマホのプランを格安SIMに変えたり、インターネット回線を光回線からホームルーターに変えたりすれば、月あたりの費用をいくらか削減できます。 また、高齢になったことをきっかけに思い切って車を手放すことも検討してみましょう。 車の維持費支出が減れば、固定資産税や車検代などがかからなくなります。公共交通を利用して不便なく生活できるのであれば、車なしでの生活も考えてみましょう。 ●NISAを利用する お金を増やすことを考えたい人は、NISAの利用がおすすめです。NISAは、運用益が非課税で受け取れるのが特徴の投資制度です。 2024年からは新しいNISA制度が始まっており、金融資産を生涯非課税で保有できるようになりました。 加えて、年間で最大360万円まで積立できる点や長期の投資に適した商品が用意されている点などから、長く投資を続けるほど恩恵を実感しやすい制度となっています。 500円、1000円など少ない金額から始められるのもNISAの利点です。生活支出の余りを少し投資に回していけば、ゆっくりとお金を増やしていける可能性が高まります。 ●iDeCoで年金を増やす 貯蓄の代わりに老後収入を増やすことを検討しているならば、iDeCoの活用がおすすめです。 iDeCoは自分で積み立てて運用する年金です。運用益が非課税となる点や掛金がすべて所得控除の対象となる点など、税制優遇が強みとなっています。 年金や退職後の一時金として受け取るため60歳まで引き出せないのはデメリットですが、節税と資産形成を同時に実現できる有用な制度といえます。