釧路でマリモ生息状況調査開始 4年かけ分析・対策
北海道の釧路市教育委員会は13日、国の特別天然記念物マリモの保護のため、文化庁の補助を受け、釧路市阿寒湖の泥や水質、マリモの調査を開始した。球状マリモが弱って軟らかくなるなどの生息状況悪化や分布が縮小していることなどから実施されるもので、今後約4年をかけ、湖やマリモの現状を把握しながら対策も講じ、5年目以降の再生事業につなげていく考え。 今回の調査は、市教委マリモ研究室や専門家が2年ほど前から準備を進めており、同庁の天然記念物緊急調査事業の補助を受け実施する。市教委では2017年にも同補助を受け、チュウルイ湾での水草調査や除去作業などを行ってきた。しかし、マリモの生息環境に大きな改善が見られなかったことなどから、今回はマリモが生息するチュウルイ湾とキネタンペ湾内の105地点の水質、61地点の湖底の泥、22地点のマリモを採取し分析。調査結果から湖やマリモの現状を把握し、マリモの分布が縮小している原因や対策を探る。マリモは約30年、水質は50年以上、泥は70年以上ぶりとなる大規模調査で、当時の調査結果との比較も行う。 調査初日となったこの日は、同研究室の尾山洋一次長と専門家4人が、チュウルイ湾内の泥を調査。ダイバーが湾内約30地点から泥をすくい上げ、研究室に持ち帰った。尾山次長は「近年の気候変動などで阿寒湖やマリモにどのような変化が生じているのか。その現状を把握できる今回の調査は非常に重要。今後マリモの保全に何が必要なのかをしっかりと分析し、対策を考えていきたい」と話している。 両湾での採取作業は17日までを予定。水温などの変化もあるため、水質とマリモは8月と11月にも採取し調査を行う。
釧路新聞