“相方がこの世を去った”人気マジシャンの今。「いつかピンで『笑点』に出たい」
無二の相方がいなくなってわかったこと
――そして2021年に小石さんが亡くなられました。影響は大きいものでしたか? ボナ植木:もちろんです。彼はマジックにのめり込んでいませんでしたから、私が「こんなマジックがある」と見せると、冷静な目で批評して「こうした方がいい」とか意見を出してくれていたんです。 ――個人的には、小石さんのリアクションも一つの芸だったように思います。 ボナ植木:そうですね。お客さんを代弁する存在だったので、あいつがリアクションすると、お客さんもリアクションしていました。非常に重要な役割を担っていました。 ――小石さん亡き今、それを埋めるために工夫していることはありますか? ボナ植木:実は私、ソロでの舞台を20年以上続けています。開催は220回を超えていて、そこで私はかなり喋りまくっています(笑)。なので、舞台上で喋ることに抵抗はありませんでしたし、おかげで一人になってもなんとかやっていけています。ただ小石がいない分、これまで以上に、常にお客様の立場になって客観的に見るようにしました。実践を積み重ねながら試行錯誤を繰り返す毎日ですね。
息子とナポレオンズの芸をやることも
――物理的に、人が二人必要なネタもあると思いますが。 ボナ植木:今でも「頭ぐるぐる」を見たいというお客様はいらっしゃいますね。そのときは、息子で落語家の三遊亭好の助と一緒に行って、「頭ぐるぐる」や人体浮揚をやります。好の助は結構うまくやっていますよ。 ――現在はどんな思いで舞台に立っていらっしゃいますか? ボナ植木:名刺には「70歳の新人ピン芸人マジシャン」と書いてあります。コロナも落ち着いて来た昨年くらいからぼちぼち仕事も入ってきています。でも今は、アシスタントもいない新人ですから荷物を自分で持って移動しているんです。芸人は体力が大事だとつくづく感じています。お客様には“不思議と笑い”両方とも楽しんでもらいたいと考えていまして、それこそが「ナポレオンズ魂」といってもいいかもしれません。