80代にして中古でも老人ホームでもなく新築マンションを買う…母と私の合言葉は「将来売りづらくならないようにしないとだね」
リフォームした点
(変更工事の内容) ・リビングに床暖房を 冬場は床暖房だけで過ごしてきたし、エアコンの暖房は喉を痛めるため、床暖房を追加。 ・作り付け食器棚 母はこれまでの古い食器棚を使いたがった。だが、サイズが合わず、壁の間に数センチの隙間ができる。デッドスペースはほこりの巣窟となるため食器棚を新設した。 ・ガスコンロをIHに変更 これまでもIH調理器だったため同じ仕様にした。 ・リビングと寝室を分かつ壁を3枚の引き戸にする 60㎡少々の住戸に開放感を持たせるため。引き戸を開ければ広々とした空間が生まれる。万が一、片方が寝込んでもリビングの人の気配に安心できる。 ・母の身長(140㎝)に合わせて、クローゼットのバーやトイレの吊り戸などを低い位置に 手の届かない棚やハンガーパイプをすべて使いやすいように高さを低くした。 ・コンセントの数を増やす 携帯充電器から湯沸かしポットなど、キッチン周辺は電気製品が密集する。火災の原因となるタコ足配線をさせないためにも追加。 ・ピアノの防音工事 30年以上、ピアノの訪問レッスンを受けてきた母は、アップライトピアノだけは持っていきたいと希望していた。 マンションの上層階でピアノとなれば、防音室を作ることになるかと心配していたが、床の補強工事のみで大丈夫とのこと。費用も20万円程だった。あとは時間帯に配慮すればピアノを弾けるとの管理会社の回答に工事を依頼した。 追加工事のプランがまとまると、快適な住まいのカタチが見えてきた。 母と私の合言葉は「将来売りづらくならないようにしないとだね」だった。両親の年齢を考えると、まずはこの先10年間を快適に暮らすための家づくりだ。使い勝手を良くすると同時に「売却する時のこと」も充分考えなければいけない。 ---------- 井形慶子(いがた けいこ) 1959年長崎県生まれ。作家。28歳で出版社を立ち上げ、英国情報誌「英国生活ミスター・パートナー」を発刊。100回を超える渡英後、ロンドンにも住まいを持つ。『古くて豊かなイギリスの家便利で貧しい日本の家』『ロンドン生活はじめ!50歳からの家づくりと仕事』『イギリス流輝く年の重ね方』『いつか一人になるための家の持ち方住まい方』『年34日だけの洋品店大好きな町で私らしく働く』など著書多数。 ----------